倫理学の話 の感想

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参照データ

タイトル倫理学の話
発売日販売日未定
製作者品川 哲彦
販売元ナカニシヤ出版
JANコード9784779509711
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 倫理学・道徳 » 倫理学入門

購入者の感想

「人はどこまで倫理的に行動しないといけないのか」「そもそも『道徳的に良い』とはどういうことなのか」、こういったことを突き詰めて考えるのが倫理学、特に規範倫理学やメタ倫理学である。
こういった疑問は素朴に浮かぶものであるが、しかし「倫理学」と言われると敷居が高い人も多いだろう。
本書は、これまでの倫理学、特に規範倫理学のさまざまな説の紹介を中心にして、倫理学がどういったことを考えてきたのかを見せてくれる。

前半では、倫理の基礎として自己利益(プラトン、ホッブス)、共感(ヒューム)、義務(カント)、功利主義(ベンタム、ミル、ヘア)に置く議論をそれぞれ紹介する。
キリスト教が支配的な状況での目的論的世界観と機械論的世界観の対立や、カントの議論が「キリスト教によらない目的論」になっていることなど、時代背景についても親切なコメントがなされている。

後半がやや異色で、ロールズ以降の正義論を概観しつつ、サンデル等の共同体主義による批判を紹介、そこからアリストテレスやヘーゲルを見ていく。
さらに、正義に対する見方として、ハーバーマスやアーペルの討議倫理、ギリガンのケアの倫理、ヨナスの責任原理、レヴィナスやデリダまで一気に進む。
この辺りは筆者自身の研究分野に近いがゆえにいろいろと触れておきたかったというのもあるであろう。
少し駆け足だし全体のまとまりはいささか弱いが、しかしこのあたりの議論をまとめてくれている本は少ないので価値はあると思う。

倫理学の学説、特に古典的な主張をコンパクトにまとめた入門書としては、他に倫理とは何か 猫のアインジヒトの挑戦 (ちくま学芸文庫)があるが、こちらはかなり筆者の主張(倫理批判)が色濃く出ているのに対し、本書はわりと中立的な紹介になっていると思う。

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