観光学ガイドブック―新しい知的領野への旅立ち の感想

観光学の現在の研究概要動向について総勢40名を超えるであろう今を先導している観光研究の中では著名な先生方が分担執筆で書かれている大変良質な本です。各章ごとに問いの部分と今後学習していくための参考文献も列挙されています。観光学の入門となる初学者の方にもゼミの研究でつかう方の簡易辞典的なものとしても利用できるかなと思います。二部で観光学の学際的総合的な視点を把握できるよう12の専門領域から研究動向が解説されています。次に観光学で多く扱われているポイント・資源・アイテム等について第三部・第五部で詳しく説明されています。この章がさらに学びを深める上で大変重要な章のように思います。例えば、ガイドブックを扱った章では、ガイドブックを分析していく上で重要な方法論も解説されています。第四部は所謂ツーリズムの現況について多様なツーリズムの諸相を説明されています。社会学・地理学・文化人類学・民俗学等人文社会科学の領域からツーリズムについて研究する方には特にオススメです。経営学や経済学等他の研究分野からツーリズムについて研究する方は別の本と併用しながら読んでみると新たな視点から観光を経済学・経営学・〇〇学的に研究できると思います。