ランボオ詩集 (岩波文庫) の感想

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参照データ

タイトルランボオ詩集 (岩波文庫)
発売日販売日未定
販売元岩波書店
JANコード9784003109724
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 詩歌 » 外国詩

購入者の感想

ランボーの詩の翻訳は、今ではたくさん出されている。それらは語学的には寸分の誤りもなく、学問的にも最新の成果が反映されているようだ。

しかし「水の中に水素が混じっている」ほど誤訳が多いとされる、この中原中也や小林秀雄のような「語学初心者」のそれにくらべて、彼ら専門家輩の訳文の、なんと水のように味気なく、無味乾燥であることよ!

その原因は、ひとえに彼らに2人のような「燃え滾る詩魂」が欠如していることにある。ランボーの心を心とし、この前代未聞の天才詩人と刺し違えるような心意気が、そもそも彼らにはてんでないから、こんな「死んだ翻訳」しかできないのである。

アルチュール・ランボーの詩を、散文詩は小林が、韻文詩は中原が、あたかもお互いに分担するように訳し分けたのは、彼らの友情のあかしだろう。

しかし予見者ランボーの中に永遠の浪漫主義者をみる小林秀雄に対して、中原中也は永遠の異教徒と生の原型をみる。ランボーではなくてラムボオというわけだ。

小林と中原、そのどちらが正しい予言であったかは、その後の成り行きをみればあきらかである。「地獄の季節」以降詩人はただの一字もポエムを書かなかったと断言した小林は決定的に誤った。

詩業を絶ったはずのランボーは、灼熱のアフリカの砂漠の中で「労働者」=放浪詩人であることを生涯に亘って実践しつつ、表面的には無味乾燥とも思える無数の素晴らしい書簡散文詩を私たちの前に遺したのであった。

君知るやアルチュール・ランボーはスタローンのランボーにあらずアフリカのラムボオなり 蝶人

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