Grace: An Intimate Portrait by Her Friend and Favorite Photographer の感想

　グレース・ケリーを、２５年間、公私にわったって撮りつづけた写真家による、写真集の本書、グレース・ケリーの魅力を充分に味わえる内容になっています。作者は、グレース・ケリーとレーニエ大公夫妻から、「世界一偉大な写真家」の称号を与えられるほど、絶大な信頼を置かれており、特に、大公一家を写したたくさんのプライベートな写真には、女優やモナコ王妃としての気負いのない、穏やかで、幸せに満ちた表情をしたグレース・ケリーが表れており、「クール・ビューティー」として謳われたグレース・ケリーの美貌の内面がにじみ出ているようで良かったと思います。また、写真とあわせて作者のキャプションとコメントからは、面白いエピソードなどが語られています。その中でも特に興味をひいたのは、彼女が育ったアメリカンスタイルを、モナコでも実践したところにあるでしょう。家族で飾りつけをするクリスマスツリーをはじめ、子供たちの教育から、慈善事業、モナコの芸術産業の振興などの場面で、グレース・ケリーは写真の中に登場しますが、王妃としての顔より、子供や夫に見せる私的な部分の方が、よく写真に表れているのが本書の特徴かもしれません。オスカー受賞前のジャマイカでの休暇中に見せた水着姿から、家事をするグレース・ケリーまで、彼女の美しさ、気品、優しさが伝わる一冊だと思います。