Them magazine(8) 2015年 12 月号 [雑誌]: 月刊EXILE 別冊 の感想

Them magazineには揺るがぬ芯がある。
所謂月刊誌に有りがちな新作のみを掲載するだけのカタログ誌ではない。
無論ファッション誌の一つとして分類されるのだから、新作やスタイリングは掲載している。
しかし、極端に明度を抑えたり、陰影をつける事で見辛い事も珍しくない。
それは一流のカメラマンやスタイリストを採用していても、その姿勢は揺るがない。
各特集毎にストーリー性を持たせ、世間の多くの他誌へのアンチテーゼのように、創刊時から脈々と現在に続いている。

季刊ではあるものの、其々がテーマを持ち自然と誌面もそれに合わせている。
今号のテーマは大人の男である。
一口に大人と云えど、様々なモデルが存在する。
懐事情が良くなり、高級品を身に着ける大人。
見方によればそういった人種は品が無く、表層だけを繕っただけの薄さを感じる。
Them magazineが今号で定義した大人とは、そうした流行に流される事無く、
自らの生き様から学んだ、自らの哲学を信じる大人達だ。
無論、そのような大人になれる人物なぞ一握りであろう。
ややもすればフィクションの中でしか存在し得ない人物像なのかもしれない。

古今東西実像も虚像も全てを網羅した大人が本誌ではピックアップされている。
青年期にこうした大人になりたいと願った男達にとって、現在の姿は如何に残酷かと本誌からは映るかもしれない。
だが生き様は生きている限り、幾らでも変える事が出来る。
誰もが自分だけの、他人から見れば馬鹿らしいとも言えるかもしれぬ拘りがある。
その積み重ねが真の尊敬を受け、同性からも羨望の目で見られる大人への一歩となり得るのだ。

流行を追うだけの若造には決して解らぬ、男臭く、それでいて美しい男達が本誌には詰まっている。
そしてThem magazineも決してブレぬ、頑固さを持つ雑誌である事を再確認出来るだろう。