ロボットの脅威 ―人の仕事がなくなる日 の感想
参照データ
タイトル | ロボットの脅威 ―人の仕事がなくなる日 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | マーティン・フォード |
販売元 | 日本経済新聞出版社 |
JANコード | 9784532356637 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » ビジネス・経済 » 産業研究 |
購入者の感想
これはインパクトのある問題提起をしており、論争を呼ぶ内容だ。
著者はコンピューター、ソフトの開発を手掛けてきたシリコンバレーの技術系経営者だが、経済学分野の関連論文も多数読み込んでおり、その学識は大したもの。
「技術が発達すると人間労働者が不要になって失業が増える」という主張は、ラッダイト運動以来様々に繰り返されてきたが、生産性と労働者の所得の伸びは長期的には連動して来たので、経済学者は一般にそうした主張を「ネオ・ラッダイト主義」として否定してきた。
しかし「今回は違うよ」と著者は言う。非管理職労働者の実質賃金と生産性の伸びが相関していたのは、米国では戦後1970年代前半までであり、それ以降は生産性の上昇にもかかわらず、実質賃金は停滞、ないしは減少している。つまり所得格差が拡大している。
しかも人工知能の指数関数的な機能向上により、これまで大卒の労働者の多くが従事してきたような知的技能労働まで急速に機械に代替されるので、所得格差はこのままでは益々拡大するだろうという見通しが述べられている。
つまり資本家とひとつまみの知的エリート vs.それ以外全ての労働者の所得格差が拡大する、と。
現在の資本主義の枠組みでは、人工知能が普及する技術革新の新しいフェーズにおける生産性の向上による成果を、広く国民に分配することが困難になりつつあるのかもしれない、と私も思い始めている。
逆に言うと、この点で所得分配上の新たな工夫が導入できれば、資本主義経済は修正されながら、繁栄を続けることができる。まあ、歴史を振り返るとそういうことを繰り返してきたのだとも思う。
「それってどういう工夫か?」
例えばbasic incomeや負の所得税かな、その点は10章に書かれている。今から読むところ。
著者はコンピューター、ソフトの開発を手掛けてきたシリコンバレーの技術系経営者だが、経済学分野の関連論文も多数読み込んでおり、その学識は大したもの。
「技術が発達すると人間労働者が不要になって失業が増える」という主張は、ラッダイト運動以来様々に繰り返されてきたが、生産性と労働者の所得の伸びは長期的には連動して来たので、経済学者は一般にそうした主張を「ネオ・ラッダイト主義」として否定してきた。
しかし「今回は違うよ」と著者は言う。非管理職労働者の実質賃金と生産性の伸びが相関していたのは、米国では戦後1970年代前半までであり、それ以降は生産性の上昇にもかかわらず、実質賃金は停滞、ないしは減少している。つまり所得格差が拡大している。
しかも人工知能の指数関数的な機能向上により、これまで大卒の労働者の多くが従事してきたような知的技能労働まで急速に機械に代替されるので、所得格差はこのままでは益々拡大するだろうという見通しが述べられている。
つまり資本家とひとつまみの知的エリート vs.それ以外全ての労働者の所得格差が拡大する、と。
現在の資本主義の枠組みでは、人工知能が普及する技術革新の新しいフェーズにおける生産性の向上による成果を、広く国民に分配することが困難になりつつあるのかもしれない、と私も思い始めている。
逆に言うと、この点で所得分配上の新たな工夫が導入できれば、資本主義経済は修正されながら、繁栄を続けることができる。まあ、歴史を振り返るとそういうことを繰り返してきたのだとも思う。
「それってどういう工夫か?」
例えばbasic incomeや負の所得税かな、その点は10章に書かれている。今から読むところ。