The War Broadcasts (Penguin Twentieth Century Classics) の感想
参照データ
タイトル | The War Broadcasts (Penguin Twentieth Century Classics) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | George Orwell |
販売元 | Penguin Books Ltd |
JANコード | 9780140189100 |
カテゴリ | » 洋書 » Subjects » Biographies & Memoirs |
購入者の感想
余り知られて居ない事だが、ジョージ・オーウェル(1903−1950)は、第二次世界大戦中、BBCのラジオ放送の仕事に従事して居た。−−この本は、オーウェルのそうした戦時中のBBCでの仕事を知る為の貴重な一書である。
オーウェルは、当初、「ファシズムとの戦い」に加わる積もりで、この仕事に従事し始めた様である。しかし、そうしてBBCの戦時放送に従事する中で、オーウェルは、戦時下の検閲とプロパガンダに直面する。そんなオーウェルは、戦争中ベルリンで、ドイツのインド向けのラジオ放送に従事して居たインド人達について、戦後、こんな発言をしたと言ふ。−−「我々に、彼らを(ドイツへの)『協力者』などと呼ぶどんな権利が有ろうか?彼らは、占領された国の市民であり、占領された自国の為に、彼らが一番良いと思った方法で反撃しただけではないか。」(本書59ページ参照)−−オーウェルは、戦時中BBCに居て、自国イギリスの戦時宣伝の虚構を知って居たからこそ、ベルリンで、ドイツのインド向けラジオ放送に従事して居たインド人達が捕らえられたと言ふニュースに、悩み、良心の呵責を感じたのではないだろうか。−−オーウェルのこうした戦時中のBBCでの体験は、彼の戦後の世界観に大きな影響を与えた。同じ「民主主義社会」でメディアに支配される私達にとって、オーウェルの戦時中のBBC体験を記録したこの本は、貴重な教材である。
(西岡昌紀・内科医/9・11テロ事件から5年目の日に)
オーウェルは、当初、「ファシズムとの戦い」に加わる積もりで、この仕事に従事し始めた様である。しかし、そうしてBBCの戦時放送に従事する中で、オーウェルは、戦時下の検閲とプロパガンダに直面する。そんなオーウェルは、戦争中ベルリンで、ドイツのインド向けのラジオ放送に従事して居たインド人達について、戦後、こんな発言をしたと言ふ。−−「我々に、彼らを(ドイツへの)『協力者』などと呼ぶどんな権利が有ろうか?彼らは、占領された国の市民であり、占領された自国の為に、彼らが一番良いと思った方法で反撃しただけではないか。」(本書59ページ参照)−−オーウェルは、戦時中BBCに居て、自国イギリスの戦時宣伝の虚構を知って居たからこそ、ベルリンで、ドイツのインド向けラジオ放送に従事して居たインド人達が捕らえられたと言ふニュースに、悩み、良心の呵責を感じたのではないだろうか。−−オーウェルのこうした戦時中のBBCでの体験は、彼の戦後の世界観に大きな影響を与えた。同じ「民主主義社会」でメディアに支配される私達にとって、オーウェルの戦時中のBBC体験を記録したこの本は、貴重な教材である。
(西岡昌紀・内科医/9・11テロ事件から5年目の日に)