言語研究のための統計入門 の感想

この本は、あるいは今年の話題作になるのではないだろうか。WebサイトのKHcoderの手順に従って進めば、あっという間に練習問題が出来上がる。
　さらに、ヒントが良い。このヒントを種にして色々な論文が書けるだろう（卒論を簡単に仕上げたい学生には、最良の情報である。）
　それにしても、言語研究では変数とケースの扱い方が柔軟なのには驚いた。テキストやコーパスが変数になるとは思ってもいなかったので、この考え方は使える。海外の教科書を意識しているのか、数式が殆ど出てこないが、それなりの説明はしてあるところも良い。
　本書はとにかく動かしてみようという精神で読者を励ます。いずれ、これが将来の人文科学の分析方法になろうが、このような書物の出版が待たれていたのは事実である。習うより慣れろでも何でも良い。とにかくキーを叩けば面白い結果が出てくるのだ。
　
　残念なことに、第7章クラスター分析（大学生のアルバイトの是非）についての計算結果（7_5.xls）が誤っている。（執筆時とデータが異なるという問題ではない）