新装版 複素代数幾何学入門 の感想
参照データ
タイトル | 新装版 複素代数幾何学入門 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 堀川 穎二 |
販売元 | 岩波書店 |
JANコード | 9784000059671 |
カテゴリ | ジャンル別 » 科学・テクノロジー » 数学 » 代数・幾何 |
購入者の感想
複素代数幾何学の素敵な入門書が「新装版」として復刊された。前半の5つの章でこの分野を研究する際に必要不可欠と考えられる基礎理論が述べられ、後半の2つの章で複素次元が1の場合である「リーマン面と代数曲線」の理論、及び複素次元が2の場合である「複素曲面上の曲線の交叉理論」と「楕円曲面の特異ファイバーの分類に関する小平の定理」が解説されている。
前半部の大きな特徴として、「ワイエルシュトラスの予備定理」が複素多様体上の因子や解析的部分集合などを研究する際に、基本的で非常に重要な役割を果たすことを読者が十分理解できるように、とても良く考えられた素晴らしい解説が与えられている点を挙げたい。その結果、著者独自の考案によるチャウ(Chow)の定理の証明も、本書では違和感なく極めて自然に受け容れられるのではないかと思う。第5章「層とコホモロジー」では、コホモロジーの具体的な計算に便利な「チェック・コホモロジー」が解説され、応用として「ド・ラームの定理」と「ドルボーの定理」が証明されている。これらは可微分多様体上の定数層Rと複素多様体上の正則p形式の芽の層の各々に対し、細層分解(fine resolution、従ってacyclic resolution)が存在するという事実から自然に導かれ、その存在を保証するのが「ポアンカレの補題」と「ドルボーの補題」であるということを是非おさえておきたい。
前半部の大きな特徴として、「ワイエルシュトラスの予備定理」が複素多様体上の因子や解析的部分集合などを研究する際に、基本的で非常に重要な役割を果たすことを読者が十分理解できるように、とても良く考えられた素晴らしい解説が与えられている点を挙げたい。その結果、著者独自の考案によるチャウ(Chow)の定理の証明も、本書では違和感なく極めて自然に受け容れられるのではないかと思う。第5章「層とコホモロジー」では、コホモロジーの具体的な計算に便利な「チェック・コホモロジー」が解説され、応用として「ド・ラームの定理」と「ドルボーの定理」が証明されている。これらは可微分多様体上の定数層Rと複素多様体上の正則p形式の芽の層の各々に対し、細層分解(fine resolution、従ってacyclic resolution)が存在するという事実から自然に導かれ、その存在を保証するのが「ポアンカレの補題」と「ドルボーの補題」であるということを是非おさえておきたい。