嫌な女 (光文社文庫) の感想

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参照データ

タイトル嫌な女 (光文社文庫)
発売日2013-05-14
製作者桂 望実
販売元光文社
JANコード9784334765767
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » か行の著者

購入者の感想

日経新聞の書評的な欄に掲載されていたため試しに読んでみた。本作の作者の作品を読むのは初めてで、簡潔だけど刺激的なだけなタイトルからあまり期待はしていなかったものの、少しずつ引き込まれてあっという間に読みきってしまった。
「嫌な女」の夏子は男性に愛されるルックスと性格から周囲の男性を対象にほとんど詐欺まがいの行為を繰り返していく。一方、夏子の遠縁に当たる女性弁護士・徹子は、夏子の引き起こしたトラブルの尻拭いを数十年にわたって何度も引き受ける。性格も生き方も何もかも対照的な二人、最初は夏子の行為がまったく理解できず共感もできずにいた徹子が、年月と彼女からの依頼の処理を重ねるにつれて徐々に夏子の引き起こすトラブルを楽しく思い、そして彼女のトラブルを通じて出会った遺言を預かる仕事や、弁護士という仕事そのものから、たとえ自分の人生が孤独で虚しく感じるようなものであっても、実は誰もが同じような思いを抱えており、今日生きられたことに感謝すべきと考えるに至っている。
話は徹子の視点で淡々と綴られてはいるものの、徐々に共感していき、最後は救われた感が残る。

このタイトルからは想像できないかもしれないが、自分の人生はつまらない、虚しい、なんで毎日こんなことしているんだろう、など、迷いや虚しさを感じている人に是非手にとってみてほしい一冊。

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