キジバトの記 の感想

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タイトルキジバトの記
発売日販売日未定
製作者上野 晴子
販売元海鳥社
JANコード9784874158609
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » あ行の著者

購入者の感想

 著者は『追われ行く鉱夫たち』(岩波新書)等の著作で有名な上野英信の妻である。英信ファンには必読の書だ。じつに痛快で笑ってしまった。英信は64歳で亡くなリ、その後に書かれた。
 「人生れて作家の妻となるなかれ」は、私が30年の貧しい体験から得た結論である。作家の妻ほどばかばかしい役回りはない。(略)ナメクジにかける塩のように、女房を金縛りにするあらたかな呪文は、「仕事ができない」という一句である。(略)机に向かうまでの準備運動は、傍で見ていてもうんざりするほど手間がかかる。たとえばザルの豆から小さなゴミや虫をより出すように、一切の雑念を追い払わねばならない。そのために散歩をする、草取りをする、深呼吸をする、お抹茶を飲む、風呂にまで入る。(略)「強い酒は強い人間を作る」と称して、どうしてそんなに飲むのかと皆があやしむほどに飲んだ。…… といった具合で上野英信への尊敬の念が、はなはだしく落ちてくる感じが心地よい。
 「ばかばかしい役回り」と感じている妻は作家の妻だけに限らないだろうから、世の夫たちは用心した方がいいだろう。〈晩年は、むらがるように押し寄せた若い友人たちに、自分の総てを与えようとしてやや急ぎすぎた感もある。〉英信はカネを惜しまず、時間を惜しまず、命を惜しまずを信条にしていたという。
 著者の死後、息子がだした遺稿集だ。〈マサカリを真っ向上段に振り上げて圧倒する父と、音もなく忍び寄ってアイスピックでわき腹を一突き、の母。生れながらの桟敷席から見ていた私の判定は、引き分け、である。〉「あとがき」より。

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