如何なる星の下に (講談社文芸文庫) の感想

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　描かれる昭和十年代の浅草風景や、人物の闊達な描写が素晴らしくて、何度も読んでしまいました。語り手の「私」を通して描かれる人生模様。浅草のレビュー小屋、カフェ、零落した人たちが集うお好み焼き屋・・・戦前を知らない私にとって、それらの描写が鮮やかな光彩を放って映ります。途中で「日記」の形式になったりと、文章のリズムがとても魅力です。屈折した心情の「私」が、浅草への愛惜を通じて、戦争を前にした不穏な時代の微妙な空気を、絶妙に伝えてくれる名著です。