The Courage to Act: A Memoir of a Crisis and Its Aftermath の感想

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タイトルThe Courage to Act: A Memoir of a Crisis and Its Aftermath
発売日販売日未定
製作者Ben S. Bernanke
販売元W W Norton & Co Inc
JANコード9780393247213
カテゴリ洋書 » Subjects » Biographies & Memoirs » Leaders & Notable People

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金融危機系の回顧録物で、ついに本丸ベン・バーナンキ元FRB議長の登場である。相方(?)の元財務省長官のティモシー・ガイトナー曰く、この方は中央銀行界の仏様なのだそうである。いつも批判の矢面に立たされ、苦しく渋い顔しかイメージにない。

論調については、ガイトナーとほぼ同じで、利上げは住宅バブルの対処に適切ではない(スウェーデンを見よ)しバブルは防ぎようもない、流動性のない金融機関は救えるが資本毀損しているような会社(リーマンブラザーズ)は救えない、システマティックリスクが大きすぎる金融機関(AIG)を伝家の宝刀であるFRB法13条(3)で救済するのはしょうがない、つまり限られた選択肢の中やれることはやった、というものである。

全体的な印象としては、教授が本職なだけあって、ケインズ派→新古典派→ニューケインズ派の流れを説明してみたり(第2章)、アメリカの中央銀行の歴史(第3章)、世界的な貯蓄過多がアメリカの住宅市場に流れを説明してみたり(第4章)、とにかく教科書的である。個人的に特に面白かったのは第19章の金融改革の考え方についての章である。ブッシュ政権時代の元財務省長官ハンク・ポールソンの金融規制のトライアングル案の紹介から始まり、改革の論点が分かりやすく纏まっていた。また、モノライン保険会社や地方債での問題(第9章~10章)など金融システムが不安定化していくプロセスについても丁寧で分かりやすい説明がされている。

ガイトナー元財務長官の回顧録は、危機ファイターとしての実績(メキシコ・アジア・ロシア・アメリカ)が危機の比較という意味で面白かったが、バーナンキの回顧録ではやはりインフレ・利上(下)げの記載が多く、何故利上(下)げをしたか(しなかったか)という説明が必ず記載されている。なお、たまに、リーマン倒産前から利下げを開始していれば実体経済の落ち込みは激しくなかったはずだという意見も見かけるが、少なくとも2008年9月で利下げを行わなかったのは誤りだった(第13章)(けど金融危機対応でいっぱいだった)とのことである。

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