精神を切る手術――脳に分け入る科学の歴史 の感想
参照データ
タイトル | 精神を切る手術――脳に分け入る科学の歴史 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | ぬで島 次郎 |
販売元 | 岩波書店 |
JANコード | 9784000258432 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 » ノンフィクション |
購入者の感想
精神外科という言葉を聞いて首を傾げるのは私だけではないでしょう。
日本では死語に近くなってしまったこの医療は、精神疾患の治療のために外科的治療を施すものを指します。
悪名高いロボトミーは、なぜ悪名高くなったのか。
すでにロボトミーの時代は終わり、はるかに安全な治療法が開発され、海外では治療の選択肢に入っているのに、日本の医学界では無視されている。
それは、患者への貢献という目的において、正しいことなのか。
著者が丹念に追った精神外科の興隆と没落の歴史は、読み物としても面白く、また、医学の進展と社会の要請が切っても切り離せない現実について、考えさせられる内容です。
個人的には、投薬による精神疾患の治療は、確かに、外科的治療による出血や感染の危険性はないものの、それゆえに、ハードルが低すぎて、個々の医師の裁量に任せられてしまっている部分が大きすぎると思います。侵襲という意味では、外科的治療以上に侵襲的かもしれないのに。
どんな治療にも、効果と副作用との見極めが必要なのですから、患者の選択肢は多いに越したことはありませんね。
また、ロボトミーに貢献した医師のノーベル賞受賞を取り消すよう求める運動があることは知っていましたが、この本を読んで、当時の医学的スタンスでは受賞に問題はなかったのだ、と理解しました。
色々と学べる本です。
日本では死語に近くなってしまったこの医療は、精神疾患の治療のために外科的治療を施すものを指します。
悪名高いロボトミーは、なぜ悪名高くなったのか。
すでにロボトミーの時代は終わり、はるかに安全な治療法が開発され、海外では治療の選択肢に入っているのに、日本の医学界では無視されている。
それは、患者への貢献という目的において、正しいことなのか。
著者が丹念に追った精神外科の興隆と没落の歴史は、読み物としても面白く、また、医学の進展と社会の要請が切っても切り離せない現実について、考えさせられる内容です。
個人的には、投薬による精神疾患の治療は、確かに、外科的治療による出血や感染の危険性はないものの、それゆえに、ハードルが低すぎて、個々の医師の裁量に任せられてしまっている部分が大きすぎると思います。侵襲という意味では、外科的治療以上に侵襲的かもしれないのに。
どんな治療にも、効果と副作用との見極めが必要なのですから、患者の選択肢は多いに越したことはありませんね。
また、ロボトミーに貢献した医師のノーベル賞受賞を取り消すよう求める運動があることは知っていましたが、この本を読んで、当時の医学的スタンスでは受賞に問題はなかったのだ、と理解しました。
色々と学べる本です。