王朝貴族物語 (講談社現代新書) の感想
参照データ
タイトル | 王朝貴族物語 (講談社現代新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 山口 博 |
販売元 | 講談社 |
JANコード | 9784061492080 |
カテゴリ | 歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般 |
購入者の感想
物語を読んでだけいてはなかなか知り得ない、平安貴族の公私に亘る日常生活を平易な文章で記した新書です。貴族社会のヒエラルキーを「ワン・ピラミッド・クライマー」といった、従来の古典の入門書にありそうでなかった、身近な表現で説明しており、それがあまりに的を射すぎていて、かえって慣れるまでピンとこないこともありましたが、そういった今の社会のなぞらえがたいへん新鮮でした。また、兼家、道長と続く藤原家の変遷を、多くの物語、日記を軸にしつつも、全体を俯瞰できる大きな視野も、「王朝歌壇の研究」の著者ならではでしょう。ただ、僭越ながらひとつだけ注文を付けさせていただくなら、道綱の母の口を借りた「蜻蛉日記」の一人語りはすこしウェットに過ぎるように個人的には思われました。しかし、今年は「源氏物語」の千年紀だそうで、関連した書物もちらほら目に着きますが、そういった書物を読まれる前に一度本書に当たっておくと、奥行きのある、また違った楽しみ方ができると思います。