逆説の日本史 17 江戸成熟編 (小学館文庫) の感想

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参照データ

タイトル逆説の日本史 17 江戸成熟編 (小学館文庫)
発売日2014-06-06
製作者井沢 元彦
販売元小学館
JANコード9784094060553
カテゴリ歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般

購入者の感想

 「逆説」シリーズの17巻は「江戸成熟編」ということで、いよいよ時代は幕末に近づいてきた。

 本書は四つの章よりなり、第一章はアイヌの歴史について詳しく述べられている。当初、何故江戸編でアイヌかと思ったが、アイヌの三大蜂起の内2つが江戸時代に起きていること、蝦夷地のアイヌとの関わりが徳川幕府の対外政策(特に対ロシア)を考えていく上で重要な意味を持つということで、実際に内容を読むと納得がいった。

 第二章は「国学の成立と展開編」である。国学において特に重要な4人の学者を四大人(しうし)と呼ぶとのことだが、最も有名なのは本居宣長であろう。しかし、宣長ではなくあえて平田篤胤の思想と生涯に重点をあてているところが、「逆説」らしいと言えるかもしれない。

 第三章は「幕府外交と天保の改革編」である。水野忠邦は、幕政の指導者としてみると名君でも何でもなく「天保の改革」も取り上げる価値のないものだとして、概略だけ述べているところは「逆説」シリーズらしい。一方、同じ天保期に行財政改革に取り組み成功したことが、幕末の雄藩としての活躍につながったとして、薩摩藩、長州藩の例を詳しく説明しているが、改革せざるを得ない程藩の財政が破綻した理由も含めて、大変興味深かった。

 第四章は「ユートピアとしての江戸編」で、江戸時代が完全リサイクル社会で、「公害のない、クリーンな環境」であったことが述べられている。著者独自の見解ではなく、他の研究者の研究をベースにしているが、事件や人物を中心として構成されたイメージとは異なる江戸時代の姿が描かれていて興味深い。

 470ページを超えるボリュームの本だが、これまでのシリーズ同様、読みやすくあまり長さを感じない。「逆説」という面では、古代や中世を扱った巻よりインパクトが弱いのは確かだが、アイヌの歴史や諸藩の行財政改革の実際等、通常の日本史の本や教科書ではほとんど取り上げられない事項についても詳しく知ることができ、その点で有用だと思われる。

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