Song for the Blue Ocean: Encounters Along the World's Coasts and Beneath the Seas の感想

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参照データ

タイトルSong for the Blue Ocean: Encounters Along the World's Coasts and Beneath the Seas
発売日2010-04-01
製作者Carl Safina
販売元Holt Paperbacks
JANコード登録されていません
カテゴリ洋書 » Subjects » Outdoors & Nature » Environment

Song for the Blue Ocean: Encounters Along the World's Coasts and Beneath the Seas とは

   圧倒的――。手に取った瞬間から、読み終えたときまで、本書の印象はまったく変わらなかった。783ページという分量をはじめ、5ページにわたって名前が列挙される謝辞、広範な取材、著者の知識と文章力、せっぱ詰まった状況。そのすべてが、空から舞い降りる巨大な鳥のように迫ってくる。誰も本書からは逃れられない。なぜなら、本書に書かれているのは地球規模で進行する現実なのだ。

   著者はイェール大学の非常勤教授で、環境保護活動に積極的にかかわり、ワシントン条約のリストにクロマグロ(ホンマグロ)の追加を提案したその人である。本書のテーマは、海の中における極めて深刻な環境問題、大型魚の絶滅だ。全3部からなり、第1部の「北東部」ではアメリカ北東部のクロマグロとメカジキの危機が論じられる。第2部の「北西部」の主役はカリフォルニアからワシントン州にかけてのサケ科の魚たちだ。第3部「西太平洋」は、インドネシアやフィリピンでの、サンゴ礁を壊滅させるシアン化ナトリウムやダイナマイト漁について。陸上の生き物である我々は、とかく「水面下」のことには無関心になりがちだが、いったん視線を海の中に投じてみると、「海の野生生物」魚の素晴らしさと惨状に打ちのめされるかもしれない。

   各方面への取材を行う旅の記録という形式は、問題が込み入っている証でもある。たとえば、「サケの世界を見るには、森林伐採、農業、水力発電、ダム、政治、農薬、国際市場、私有財産権、公共財産をめぐる争い、レジャー・フィッシング、商業漁業、生存のための漁獲、人工繁殖などの複雑なプロセスを抜きにすることはできない」。しかし、いずれの場合にも共通するのは、経済圏の拡大に伴う他所への無関心だ。マグロやサケの主要な消費者である日本人こそ、本書を読まなければならない。食べる権利を主張すると同時に、学ぶ義務を怠ってはならない。「重大な歴史の岐路に差しかかっているいま」、世界的な「海の倫理」が求められているのだから。(齋藤聡海)

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