Michelangelo & The Pope's Ceiling の感想

※サンプル画像 クリックで拡大します

ヴァチカンのシスチーナ礼拝堂には、ミケランジェロの傑作壁画「最後の審判」とともに、同じく彼の手による天地創造の天井画が描かれている。この本では、この天井画の制作過程が、法王との確執を軸に描かれている。本来彫刻が専門のミケランジェロが天井画を描くに至った過程、ラファエロとの関係、天井画制作の実際のプロセスなど、人間関係とともに、天井画制作の技術的な問題も詳しく記述されており、当時の様子が手に取るようによくわかる。80年以上生きたミケランジェロの生涯の、ほんの一部を描いているだけだが、ミケランジェロの人となり、時代背景が明解に伝わってくる。私は、1年ほど前、実際にシスチーナ礼拝堂を訪れ、彼の作品に大いに感動したが、もしこの本を先に読んでいたら、また別の見方もできたかもしれない。ミケランジェロあるいはルネッサンス芸術に興味のある方には、是非お勧めしたい伝記小説である。英語の難しさは中程度。