対談・写真この五十年 (1975年) の感想

木村伊兵衛さんは、1974年没ですが
亡くなる直前まで雑誌などで活躍されました。

その中でも、アサヒカメラに連載されていた
木村伊兵衛放談室
これをまとめたものが本書です。

カメラと戦争―光学技術者たちの挑戦 (朝日文庫)の小倉ドクターも引用されている長岡正男（ニコン元社長）
との座談に始まり、エルンスト・ライツ、伊奈信男、渡辺義雄、
三木淳、稲村隆正などさまざまな伝説の人々が登場し、
最後は現代の巨匠　田沼武能と伊兵衛さんの奥さんの座談で終わります。

重要なのは、これらが生の声として収録されていることです。
座談の言葉そのままに、伊兵衛節が炸裂します。

ときにツッコミを入れられていると思いきや、
さっと切り返す巧妙な話術
写真を離れた木村伊兵衛に近づける貴重な本です。

ニコンのカメラが、なぜ朝鮮戦争当時にもてはやされたのか
そんな裏事情も読み解くことが出来るのは、
本書ならではだと思います。

いまどきのカメラ本では、
ニコンに惚れたデビットダグラスダンカンが積極的に使用したような記述もありますが、
実はそうではなかった。。
なるほど、そういう訳だったのかと妙に納得しました。

2013年現在、価格もこなれて求めやすくなっています。
資料本としても価値が高いので
カメラ好きの方にはお勧めです！