ベトナム戦記 (朝日文庫) の感想

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タイトルベトナム戦記 (朝日文庫)
発売日販売日未定
製作者開高 健
販売元朝日新聞社
JANコード9784022606075
カテゴリ »  » ジャンル別 » 文学・評論

購入者の感想

インドシナ戦争(ベトナム戦線、カンボジア戦線)の書籍は多く読みましたが、
決定的な違いは、開高健氏が小説家であること。
岡村昭彦、沢田教一、一ノ瀬泰三などインドシナをカバーしたいと
戦地に乗り込んだのは、いずれも戦場カメラマンとしてであった。

著者は当時、雑誌連載をやめてまでこのベトナムに入りオペレーションに
従軍したのには、自身が「何か」を求めていたことが、
文面から推察される。

ベトコン銃殺の場面もそうであるが、ジャングルで敵に囲まれ
見方200人が十数人までになる場面は、著者の「表現師」としての
優れた表現に現れている。
銃声の音の表現、「透明な悲惨さ」という逆説的な文字を組み合わせて
の表現は圧巻。

空想ではなくドキュメンタリーであるところのリアルさと
巧みな表現によって、自分がその場面に居るのでないかと
錯覚させられる。

帰国後に書いた「輝ける闇」そして「夏の闇」に続くことになるが、
本書を読むと、いずれも読みたくなりわたしは続けて読んでしまった。
また、著者が芥川賞をとった「裸の王様」まで遡ってしまった。

興味がある方は、是非読んでいただきたい一冊。
恐らく「輝ける闇」を呼んでしまうことになると思う。

★4つとしたのは、★5つではないというのではなく、
「輝ける闇」そして「夏の闇」への序章となる位置づけだからです。

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