政権交代 - 民主党政権とは何であったのか (中公新書) の感想

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タイトル政権交代 - 民主党政権とは何であったのか (中公新書)
発売日販売日未定
製作者小林 良彰
販売元中央公論新社
JANコード9784121021816
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門

購入者の感想

3年前の政権交代時に大きな変化を期待した有権者は多かった。特に、それ以前の政権交代とは異なり、3年間、政権を維持しただけに、少なくとも政治主導による改革をする機会はあったはずだ。しかし、現実は残念ながら、政治や社会の構造が大きく変わったとは言えず、最近では官僚主導政治に戻った感が強い。こうした3年間について、本書は(起)政権交代神話が正しいのかという問題提起をした上で、(承)政権交代をもたらした有権者の心理や民主党政権の3年間の軌跡を丹念に追い、(転)代議制民主主義が機能しているのかどうかを分析し、最後に(結)より良い政治のための制度改革を提言している。いずれは過去の歴史の一部となる民主党政権の3年間(政権交代が生じた背景の記述を含めると6年間)をコンパクトに整理し、政治学的な視点から総括して提言に結びつけている点で読む価値があった。

現在日本で「自分たちのことを自分たちで決定する」民主主義が機能しているのかを問うている。具体的には、「政治家が提示した公約のなかで有権者が自分の最適点に最も近いものを選び投票行動を決定する」代議制民主主義の擬制が機能しているのかを検証する。そして、政権交代が生じた2009年総選挙における有権者の投票行動が本当に争点態度投票だったのか? さらに、政権交代後の政治家の国会における発言や法案への投票が選挙公約を遵守していたのか? を著者は検証する。著者は、政権交代したことが間違いであると行っているのではなく、「政権交代するほど民主主義が機能している」とする政権交代神話が間違いであると述べる。つまり、「政権交代さえすれば政治が良くなるというのは神話にしか過ぎない。政策が変わらない政権交代では政治家の権力闘争に過ぎず、有権者にとっては意味がない」とした上で、戦後初めて一定期間続いた今回の政権交代でも「政権担い手の変化にとどまり、有権者にとっての政治の変化にまでつながっていない」とする。結局、政権交代はより良い政治をもたらすための必要条件ではあっても十分条件ではないことになる。その意味では、90年代の政治改革は必要条件だけに踊らされて、十分条件に手を付けなかったことになる。それでは、どのような改革が必要であるのかについての著者なりの提案が最後に記されている。中でも本書の特徴は終章の前半部の分析にある。文章は読みやすかった。

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