愛について語るときに我々の語ること (村上春樹翻訳ライブラリー) の感想

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参照データ

タイトル愛について語るときに我々の語ること (村上春樹翻訳ライブラリー)
発売日販売日未定
製作者レイモンド カーヴァー
販売元中央公論新社
JANコード9784124034998
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 英米文学

購入者の感想

『愛について語る時に我々の語ること』:
この短編小説集を代表する短編は間違いなく 『愛について語る時に我々の語ること』 であり、この本の表題作になっている。 英題は『What we talk about When we talk about love』 でカーヴァーらしいウイットに富み、洒落たタイトルだと思う。 原題に敬意を払うのであれば、誰が日本語にしても、殆ど同じ訳になる。せいぜい、 『我々が愛を語る時、我々が語ることは』 くらいの変形しかない。

二組の夫婦4人、それぞれ、メルとテリ (ともに40歳代)、そしてニックとローラ (30歳代)は、いずれも再婚同士だ。ふた組の夫婦4人共、夫婦関係の継続に特段の疑義が無いと考えて(考えようとして)いる。 ただ、精神的な愛の絶対性を信じている、テリーの夫である外科医メルの心に湧いている微妙な違和感を別にして・・・・・・・ということだが。
この4人でジンとトニック・ウォーターを飲みながら、医師メルが病院で目にした、老夫婦のエピソードを話す。 瀕死の重傷にも関わらず、(アリクイの夫婦のように) 永遠にしっかりと固く抱き合っていることを望む老夫婦についてである。
その話を咀嚼しているうちに、4人はいずれも、自分たち夫婦の心が真の愛に包まれていないことに気づいてしまう。 その老夫婦と比べて、自分たちの愛の形が異形であることを認識してしまい、二組の夫婦は慄然としてしまった・・・・・のかもしれない。
 彼らの誰もが思う―――自分達は今、ゆらぐ平衡の上に危うく立っているだけなのかもしれない、と。 少し強い風が吹いて波が大きくなれば、自分達は簡単に海の中に飲み込まれバラバラになってしまうことに気が付き・・・・・誰もが、心臓の鼓動の高まりを抑えることができない。

2組の夫婦4人の問題点は、誰一人として自分がこの世で100%完璧なパートナーと結びついていると信じていないこと。 従って、一番の問題点は、この4人が各々交換可能であることなのかもしれない (スワッピング)。 カーヴァーはこの作品で、うまくいかない夫婦の、ひとつの典型的パターンを提示している・・・・・・のかもしれない。

あまりガッツリと本を読むタイプではないのですが、村上春樹が訳したということで購入してみました。何かを失くした人や壊してしまった人たちのワンシーンを切り取ったという感じです。ヤマもオチも無い話が多いですが、淡々と進み、読み終わった跡にインクの染みのように喪失感が滲んできます。短編集なので読みたい時にサッとよんで浸たれるのが良かったです。長編は買ってから読み始めるまでに結構な気力を使ってしまうタイプなので・・・。同作者の「ささやかだけれど、役にたつこと」も良い本でした。

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中央公論新社から発売されたレイモンド カーヴァーの愛について語るときに我々の語ること (村上春樹翻訳ライブラリー)(JAN:9784124034998)の感想と評価
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