南京「百人斬り競争」虚構の証明―野田毅獄中記と裁判記録全文公開 の感想

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タイトル南京「百人斬り競争」虚構の証明―野田毅獄中記と裁判記録全文公開
発売日販売日未定
製作者野田 毅
販売元朱鳥社
JANコード9784434163098
カテゴリ歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般

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戦後の日本人には、もはや「戦意高揚記事」というものは理解できないかも知れない。昭和12年12月の日本軍の南京占領に先立って報道された、東京日々新聞(現在の毎日新聞)浅海特派員による「百人斬り競争報道」は、まさしく典型的な記事だった。そして、その十年後、仕立て上げられた記事によって、二人の元軍人が、戦後、千葉、或いは鹿児島の郷里から移送されて、南京の法廷で裁かれ、死刑に処せられた。
本書は、その一人である野田毅少尉について、妹であるマサ氏と溝口郁夫氏によってまとめられたものである。「新聞記事の検証」「南京裁判の経緯」「野田毅遺書」「南京裁判記録」と4章からなる本文は、行間からまさしく「支那事変」戦後の「BC級裁判」「東京裁判」の時代の雰囲気がにじみ出てくる。
そのなかで、「野田毅遺書」の真率さには、心打たれるものがある。
南京での裁判は、始まったときには、印刷された「判決文」が用意されていた。獄中で、死刑回避の噂が流れて一縷の望みを持った数日間もあったが、判決の一ヶ月後、南京の処刑台に消えていく運命にあった。(「南京大虐殺のまぼろし」の著者、鈴木明氏は台湾で当時の裁判関係者に取材したことがあった。三対二で死刑判決を評決したということであった)
国家が行う戦闘行為には「不条理」がつきまとう。「敗れた昭和の戦争」について、当時の国際情勢や我が国の政策と戦略を評価し、その中で生きた個人についても正当な評価をしていく必要がある。しかし、その作業は、恐ろしく地味で、悲しく、辛いものである。その一方、「戦意高揚記事」をでっちあげた特派員が法廷で臆面もなく「事実だ」と偽証をし死刑判決の有力な根拠を与えたこと、1970年代に共産中国の宣伝戦の一翼を担って朝日新聞で「百人斬り競争」を事実のように蒸し返し、野田・向井氏の名誉を再び傷つけた本多勝一記者や評論家たちは、自分たちの行為をどう弁明できるのだろう。

「泣く思い しんしんと落つる 獄の雪」「南京の 月光降りて 雪青み」(「野田毅遺書」昭和23年1月25日。同1月28日処刑)

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朱鳥社から発売された野田 毅の南京「百人斬り競争」虚構の証明―野田毅獄中記と裁判記録全文公開(JAN:9784434163098)の感想と評価
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