コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった の感想

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タイトルコンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった
発売日販売日未定
製作者マルク・レビンソン
販売元日経BP社
JANコード9784822245641
カテゴリジャンル別 » ビジネス・経済 » 産業研究 » 流通・物流

購入者の感想

① 製品(商品)の革新だけが成長の原動力ではなく、物流の革新も成長の鍵であることを教えてくれる本です。
② 以下に記す「荷主の立場での小生の体験」に照らしても、本書の内容は実感できました。
③ 輸出貨物だからと言って、頑丈な木箱に入れたり、木枠で囲ったりすることは例外になりましたが、小生が職に就いた1970年代は、フォークリフトの爪傷や当て傷、雨濡れ、潮濡れを防ぐ為に必須でした。
④ 米国や中国の内陸部へ向かう貨物は、日本の国内工場⇒神戸港や横浜港の倉庫で船待ち⇒クレーンで吊って船倉へ⇒船倉内で固定用木材を組んで荷崩れ防止⇒出港後も寄港地毎に同じ荷役作業の繰り返し⇒揚げ港入港・接岸⇒クレーンで吊って降ろし⇒貨車へフォークで積み込んで⇒顧客の居る町へ。積港、寄港地、揚港の何処で雨が降っても荷役中止。何時着くかはあくまで予想。
⑤ バンコックや香港など岸壁が不足していた港では、海上で艀(港内や河川用の小型船)を本船に横付けして貨物をクレーンで「落とす」のが荷役。
⑥ それが1980年代にはコンテナ船が当たり前になり、在来船は重量物や大型貨物に限定されるようになりました。あっと言う間の出来事でした。
⑦ FOB-ST(輸出本船積み込み渡し)なんて言葉が死語になり、紙梱包のまま荷印・ケース№を付ければそのまま輸出梱包。
⑧ シアトル⇒タコマ、サンフランシスコ⇒オークランドと言った主要港湾の地位逆転の背景も理解できました。

 コンテナ物語の主旨は、輸送用のパッケージサイズを世界で統一したと
 いうだけのことなのだが、その影響たるや、すさまじいことになったという
 話である。

 1950年代にコンテナが登場するまでは、港では、荷役で働く人たちが、
 船の積荷を人力で運び出していた。その作業が如何に大変かは、想像に
 難くない。

 その作業中は船が港を占拠し、効率性などはどこにもないのだ。

 それが現代ではどうか。
 最大のコンテナ船は全長400m、総積載量1万4500ヶ、15万トン、
 最大のコンテナ港は、上海、シンガポールで、年間2,500万ヶが積み降ろされ
 ているのだ。
 
 ちなみに日本の東京は、400万ヶ程度である。

 かくも絶大な効果をもたらしたにも関わらず、導入時点では、
 誰も予想できていない。少しずつ少しずつ浸透していったのが、
 面白い。

 それぞれの仕事に携わる人が、自分の利害と見比べながら、導入を渋ったり
 するのだが、結局、コンテナの利便性の前に崩れていくことになる。

 こうしてみれば、世界のグローバリゼーションは、コンテナリゼーションの
 ことであり、コンテナとい大量輸送手段が存在しなければ、中国も
 インドも世界の工場になることはなかったのだ。
 
 かくいう日本も同じことなのだが。

 空輸ではこれほどの物量を搬送することはできないため、
 都市国家の勃興は、海と港と船の関係性が重要となる。

 内陸や十分な港のない国は、グローバルな展開から
 どんどん遅れを取る羽目になるのだ。

 そんなことが、たかだか、箱の大きさを決めたことから始まる
 面白さが味わえる一冊なのである。

 本書は、コンテナの影響を記したものであるが、どの業界にも
 存在する、既存勢力と新興勢力との攻防という意味で十分一読の価値ある
 一冊でもある。

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