「納品」をなくせばうまくいく ソフトウェア業界の“常識"を変えるビジネスモデル の感想
参照データ
タイトル | 「納品」をなくせばうまくいく ソフトウェア業界の“常識"を変えるビジネスモデル |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 倉貫 義人 |
販売元 | 日本実業出版社 |
JANコード | 9784534051943 |
カテゴリ | ジャンル別 » ビジネス・経済 » IT » 情報・コンピュータ産業 |
購入者の感想
自分も7年程SIerで仕事をしていた経験があるが、この本に書かれてある通りのマインドと意識の高さをメンバーが共有できていれば、案件の炎上 という不幸をいくらかは避ける事が出来たかもな と思う。SG社のビジネス方針だとそこに加えて「顧客の協力」が欠かせないわけだが、顧客から協力を得るのもある意味社員のスキルが為せる技なわけで、果たしてこのビジネスモデルから属人性を排除出来るのだろうか?という疑問が残る。属人的でも良いという方針であればそれでも全然良いのだけど、そうなるとビジネスとしてスケールするのかどうか?が自分には想像が付かない。一方で作っているシステムについては「納品をせず改善し続ける」という事を目指しているようだけど、このスタンスだといわゆる "システムの陳腐化・負債化" とも戦わざるを得ない局面が必ず出てくると思う。 その際に顧客からどの程度の費用を請求するのだろうか?もしそこで高額な費用を請求してしまうと、旧態依然のSIerとあまり変わらないような気もするのだが。
目指す方向性への共感とそれに比例して膨らむ疑問が半々、というのが総括だが、SG社の今後の展開に期待してみたい。
目指す方向性への共感とそれに比例して膨らむ疑問が半々、というのが総括だが、SG社の今後の展開に期待してみたい。
ソフトウェアの委託には納品がつきものですが、著者である受託会社の社長はそれを真っ向から否定します。かつてソフトウェア開発は社内で開発されていましたので納品という概念はありませんでした。企業のシステム化の進展に伴い、開発需要が増大し、内部要員では対応し切れなくなり、外注化が進み現在のユーザーが要件定義をし、それを外注し、納品を受け、検収するという外注全盛時代になりました。ここで、いろんな齟齬、問題がおきています。これを解決するのが納品のない受託です。外注であってかつての内製そのものです。システム開発手法として捉えられているアジャイル開発が、企業の戦略に貢献する事もよくわかります。著者は適用できる範囲をインターネットサービスなどに限定していますが、もっと範囲を広げられるのではないかと思います。全体を通じて著者の業界改革の志がひしひしと伝わってきます。ソフトウェア業界、ユーザー企業の皆さんに大いに参考になると思います。
いわゆるアジャイル開発をベースにした、新たなソフトウェア開発のビジネスモデルといったレベルの話ではない。
この本からは、企業の競争戦略(長期利益)の本質が見えてくる。
つまり一見して非常識(納品しない、月定額制)、しかしよく見ると合理的(顧客価値の追求、三方良し)となる戦略が構築されている。
競合他社には非合理に映る要素が含まれているため、戦略それ自体の存在が模倣障壁になりえる。また、「部分的な非合理」が「全体としての合理さ」につながっているため、他社がいいとこ取りで真似をしてもそうはうまくいかない。
「そんなバカな」が「なるほど」に転化するビジネスモデルであり、そこから強い競争優位性が読み取れる。
ソフトウェア業界に限らず、幅広い業界の方々にぜひ読んでもらいたい。
この本からは、企業の競争戦略(長期利益)の本質が見えてくる。
つまり一見して非常識(納品しない、月定額制)、しかしよく見ると合理的(顧客価値の追求、三方良し)となる戦略が構築されている。
競合他社には非合理に映る要素が含まれているため、戦略それ自体の存在が模倣障壁になりえる。また、「部分的な非合理」が「全体としての合理さ」につながっているため、他社がいいとこ取りで真似をしてもそうはうまくいかない。
「そんなバカな」が「なるほど」に転化するビジネスモデルであり、そこから強い競争優位性が読み取れる。
ソフトウェア業界に限らず、幅広い業界の方々にぜひ読んでもらいたい。