ホルスト:惑星 の感想

レンタル落ちの商品で、この価格なので『聴けたらいいかな…』ぐらいの期待でしたが、ディスクの傷は少なく、解説の紙もとてもキレイ。ケースは新品らしき美品で梱包も丁寧でした。
個人的には大満足です！またお願いします！

ホルストの「惑星」という作品がまだ世にあまり知られていなかった頃に、
このカラヤンとウィーンフィルによる演奏は、文句無しの名演であったと確信していた。
当時はLPレコードで聴いていたのだが、その頃はこの作品をリリースしている演奏も少なくて、
他での推薦盤は、やはりこの曲を初演したボールト指揮のロンドンフィルのものになろうか？
この評価は、今でも変わらないものといってもよいのだろうか？
対照的な演奏の代表者としてストコフスキー／ロスアンジェルスフィル、および
コリン・デイヴィス／ベルリンフィルの演奏と聴き比べてみても、
まったくこのカラヤン演奏と比べると面白みにに欠けるのは確かだ。
最近はこの曲の演奏は多くの指揮者がCD化しているようだが、録音が新しくなり、
オケもよく鳴るようになったものの、正直のところ得心する良い演奏には巡り合っていない。

クラシック音楽の楽しさを知り始めた頃の経験として、この演奏に圧倒的な魅力を感じたのは、
ウィーンフィルの音の豊かさであった。7曲いずれにおいても、当時のウィーンフィルの実力によって、
余すところなく惑星の特徴がロマンティックに描き出されていて見事であった。
特に「木星」の有名な歌い回しの部分では、弦楽器の豊饒な音の響きに感嘆したものだ。
この曲を聴きながら、しばし夜空を仰いでいたその当時の体験が忘れられない。
この作品にはそのような児童文学のようなファンタジックな魅力がある。

これは1961年の録音なのだが、なぜか録音の古さを感じさせない。
カラヤンのテンポ設定は全体的に速めで颯爽としており、間の取り方も独特のもので、
わくわくするような楽しさを与えてくれる。
そもそも、この作品は標題音楽としてイギリス人特有の科学的合理性の遊び心の中で
生み出された曲ともいえるものであるが、耳馴染みがよく、子供たちがクラシックに
触れるきっかけとなるような優れた作品でもある。
（ただし、クラシック音楽における芸術性という観点からは、あまり高評価にはならないが…）