文学界 2014年 07月号 [雑誌] の感想

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参照データ

タイトル文学界 2014年 07月号 [雑誌]
発売日2014-06-07
販売元文藝春秋
JANコード4910077070744
カテゴリジャンル別 » 雑誌 » 文芸・総合 » 文芸

購入者の感想

特集は、『「ボヴァリー夫人」論』の衝撃というタイトル。
その論の著者である蓮實先生と工藤氏、菅谷氏の鼎談と、
青木氏、王寺氏、荻世氏の評論で40ページ弱ある。

文中に「テクスト的な現実」という専門用語が何度も出てくるが、
その定義が不十分なまま、知っていることを前提として話が進んで
しまっている。
私は、全く予備知識なしで読んだため、彼らが何を言っているのか、
最初は理解し難かった。内輪受けの文学遊戯に思えたのだ。

註をつける、鼎談中に説明を設けるなど、編集次第で、
もう少し分かりやすくすることができると思うので、星は3つ。

この論には、作品そのものを読まずに済ますために批評を読む、
あるいは、批評を読んだから作品そのものは読む必要がない、
そう考える近代文芸批評への批判が込められている。

合理化・効率化を至上とする近代主義にとっては、
長い文学そのものを律儀に読むことは無駄の多い作業だったのだ。
ならば批評家が読んで発表した、作品の筋さえ読めばいい。

しかし、作品を腑分けして、矛盾、不確かさ、曖昧さを取り除いた
要約からは、こぼれ落ちてしまうディテールが文学には確かにある。
何故なら、その瞬間その瞬間の生の脈動が、
筆者の意図を超えてテクストには反映しているから。
文章として書かれている訳ではないが暗に語られていることが、
作品を読み進めるうちに、不意に、
言葉であることの生々しさを生き始める。
それをつかむ実感を得、
その文脈を超えた細部相互の響き合いに感応するのが読書なのだ。

まさに生きることそのものとしての読書。
今、読みつつある文章そのものを順に忘れていかない限り、
次の文へと読み通せない、豊かさとしか言えない手触り。

福岡伸一著の「せいめいのはなし」には、
記憶や文学の本質についての興味深い対談(朝吹の回)が
収められているが、そこではこう語られている。

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