世界征服を夢見る嫌われ者国家 中国の狂気 の感想

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参照データ

タイトル世界征服を夢見る嫌われ者国家 中国の狂気
発売日販売日未定
製作者石平
販売元ビジネス社
JANコード9784828417578
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門

購入者の感想

久しぶりに石平氏の主張に触れたが、本書は「はじめに」に依ると、彼のメルマガ『石平のチャイナ・ウォッチ』をベースに、「最新情報やその後の国際情勢の変化……を加え、大幅に加筆したもの」である。主として習近平政権発足、あるいは昨年度辺りからの中国事情(政治・経済・対日・対米関係ほか)を詳細かつ分析的、批判的に考察し、中共中央の独裁、習近平体制の終焉を予測するものと言えようか。中国共産党独裁体制の消極的(批判的)観測論で私が最近読んだものは、黄文雄氏の『中国が世界地図から消える日』がある。石平氏・黄文雄氏何れも中国評論については論客であるが、両書の相違を簡略に言えば、黄氏の前掲著書は孫文、毛沢東らのイデオロギー及び中国近代史の考証・分析から、中共の歴史的体質、中華思想の背景、民族性を考察して中共に内在する歴史必然性(中共独裁王朝の終焉)を予測するものと考えるが、本書はイデオロギー論から離れ、より現実的政治・経済・外交政策の行き詰まり、“人民”の視点に立った中共独裁、殊に習近平体制の近未来的予測を綴るものと言えようか。

これら2著のコンセプトとしては、中国共産党独裁体制ないし習近平体制の危機、近未来的終焉を予想するものではあるが、アプローチが対照的なので両者を併読する意義はあろう。習近平の説く「中国の夢(中華民族の偉大なる復興)」や「薄熙来」事件、シャドウバンキング、共産党幹部の腐敗など、重複するトピックは散見されるが、思想・イデオロギー的側面では黄文雄氏の前掲書、政治的側面(中共中央内部の政権闘争)では石平氏の本書が詳しく読み応えがある。習近平の「中国の夢」、毛沢東回帰、中華思想、歴史的考察などは黄文雄氏の著書のボリュームもあって、右著書を読むとその意義が解りやすいように思う。

昨年12月26日に安倍晋三首相が靖国神社を参拝した時、それまで安倍政権が展開する「中国包囲網外交」に悩まされてきた中国政府は、アメリカ政府の「失望声明」に喜び、日本に反撃するチャンス到来と捉え、アメリカで日本批判を繰り返したが、成果は上がらなかった。というのは、アメリカ政府が表明した「失望」は、日本と近隣諸国との関係悪化に対する懸念であって、靖国参拝そのものに対する批判ではなかったからだ。アメリカは東アジアの安定を望んでいるのだから、日米の関係悪化も望まないはずである。実際に、アメリカはその後靖国問題を持ち出さず、日米同盟強化に取り組む姿勢を見せた。さらに、中国政府はロシアや韓国からもそっぽを向かれ、「日本包囲作戦」は完全に頓挫した。

中国でもインターネットが普及し、政府が行う反日宣伝を信じない人が増えているという。「日本の教科書が真実を教えない」と批判すれば、「中国の教科書こそ嘘ばかりではないのか」との反論が返ってくるし、「南京大虐殺が忘れられた」と騒げば、「お前らこそ多くの中国人民を殺したのではないか」と突っ込まれる。
市場経済が発達し、人々が自立的な生活基盤を得て自由な思考を始めた情報化時代において、共産党政権が国民大半の頭と心をコントロール下におくことはもはやできなくなっている。

今年(2014年)、ついに不動産バブル崩壊が始まり(昨年から、いつ始まってもおかしくないという状況だった)、中国経済は破滅に向かっている。止まらぬ格差拡大、経済成長の鈍化、高まるいっぽうの影の銀行をめぐるリスク、くすぶる民族問題、劣悪化した環境汚染等々、中国はもう末期的症状である。
中国では、国内の治安維持費に相当する「公共安全予算」が、2011年から三年連続で軍事予算を上回っている。ここまで治安維持に予算を投入しなければ、国民の抵抗を抑えきれないのが実情なのだ。しかしこれほど膨大な予算をかけても、公式発表だけで年間二十万件も発生する暴動はエスカレートする一方である。そして最近では、市井の人々が警察官に暴行することも珍しくなく、権威が完全に失墜しているのである。

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