浄瑠璃を読もう の感想
参照データ
タイトル | 浄瑠璃を読もう |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 橋本 治 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784104061136 |
カテゴリ | ジャンル別 » アート・建築・デザイン » 日本の伝統文化 » 歌舞伎・文楽・能 |
購入者の感想
最初に取り上げる三大狂言では、歌舞伎の『仮名手本忠臣蔵』では脇役っぽい婚前交渉カップルの「お軽勘平」が実は主人公といってもいいぐらいという指摘には改めてドキッとさせられたし、義経千本桜は義経=千本桜であり《『義経千本桜』とは、義経すなわち満開の桜》という発見が凄いと思います。後半は弟子の近松半次の『本朝廿四孝』と『妹背山婦女庭訓』に挟んだ形で近松門左衛門の『国性爺合戦』『冥途の飛脚』を取り上げ、お姫様というは恋をするためだけに登場するという役割であること、おそらくは心中物が幕府によって禁止された後は、どんでん返しの連続を愉しんでもらう、という風になっていくことなどに触れていきます。
『冥途の飛脚』は国立劇場で見物してきました。歌舞伎とは違うということを、この本で初めて知りましたが、あまりにも複雑な主人公たちの心情は義太夫が語るしかないので、歌舞伎の場合は、どうしても単純化せざるを得ないのかな、とも感じました。封切りの場面でも、歌舞伎では八右衛門が悪役となって自由になるカネのない忠兵衛を言葉でいたぶるのですが、文楽では八右衛門が道理を諭すにもかかわらず、忠兵衛が勢いにまかせて為替の五十両の封切りをしてしまうというストーリーになっています。深い…。浄瑠璃が小説の原作なら、歌舞伎はそれを元にした映画みたいな感じでしょうか。話しを早く進めないと役者の見所も詰め込めないといけないし、どうしても単純化せざるを得ないのかな、とも感じました。
『国性爺合戦』も歌舞伎では「紅流し」を合図に国性爺が「南無三!」と大見得を切るような場面ぐらいしか印象に残っていませんが、この堀に紅か白を流すことで合図するというトリックは、『椿三十郎』でも使われており、こんなところも帯に書いてある「わたしたちの心の原型も、小説の源流も、みんな浄瑠璃の中にある!」というコピーを実感できるところです。
『冥途の飛脚』は国立劇場で見物してきました。歌舞伎とは違うということを、この本で初めて知りましたが、あまりにも複雑な主人公たちの心情は義太夫が語るしかないので、歌舞伎の場合は、どうしても単純化せざるを得ないのかな、とも感じました。封切りの場面でも、歌舞伎では八右衛門が悪役となって自由になるカネのない忠兵衛を言葉でいたぶるのですが、文楽では八右衛門が道理を諭すにもかかわらず、忠兵衛が勢いにまかせて為替の五十両の封切りをしてしまうというストーリーになっています。深い…。浄瑠璃が小説の原作なら、歌舞伎はそれを元にした映画みたいな感じでしょうか。話しを早く進めないと役者の見所も詰め込めないといけないし、どうしても単純化せざるを得ないのかな、とも感じました。
『国性爺合戦』も歌舞伎では「紅流し」を合図に国性爺が「南無三!」と大見得を切るような場面ぐらいしか印象に残っていませんが、この堀に紅か白を流すことで合図するというトリックは、『椿三十郎』でも使われており、こんなところも帯に書いてある「わたしたちの心の原型も、小説の源流も、みんな浄瑠璃の中にある!」というコピーを実感できるところです。