知られざる天才 ニコラ・テスラ: エジソンが恐れた発明家 (平凡社新書) の感想

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タイトル知られざる天才 ニコラ・テスラ: エジソンが恐れた発明家 (平凡社新書)
発売日販売日未定
製作者新戸 雅章
販売元平凡社
JANコード9784582857658
カテゴリジャンル別 » ノンフィクション » 科学 » 科学史・科学者

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交流電力システムの父、ニコラ・テスラの伝記。テスラは世界中で使われている交流による発送電システムを考案し実用化した。当初構想されていた直流発送電では、今のように電力を大量消費する生活は考えられない。近代生活の父とも言えるが、テスラはテスラコイルの写真や地震兵器などから想起されるように、マッドサイエンティストの印象が強い。本書ではテスラの生涯、テスラ研究史を追うことで、なぜ「マッドサイエンティスト」になったのかも合わせて考えている。

電気時代草創期をリードしていた発明王エジソンは、発送電システムを直流で構想していた。しかし、遠方から家庭に大電力を送るのは、変圧が簡単な交流でなければ非常に困難だった。エジソンは直流にこだわっていたし、交流は技術的に複雑で実用に適さないとされていた。これをテスラは直感に基づき複相交流によるモーターを発明することで解決する。この発明を元に、ウエスチングハウス社と協力してエジソンによる直流システムを数年後に一掃し、電力業界の停滞をやすやすとぶち抜いてしまった。世紀末、テスラは電力の魔術師の異名を持つ若き天才として絶賛された。

ただその後のテスラの生涯は精彩を欠く。全精力をかけ一時はリードしていた無線電信、無線送電・音声電送(ラジオ)は実験までしたが、マルコーニに遅れを取り失敗に終わった。ラジコン、電子レンジなど構想したものの、アイデアのみで終わったものも多いし、X線などいち早く注目していながらそのまま放り投げてしまったものもある。スポンサーも失い、晩年には新聞や大衆雑誌に殺人光線のような荒唐無稽と思える「発明」を語ることもあった。こうした晩年から、青年期の巨大な業績よりマッドサイエンスティックな印象を持たれることが多くなった。

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