スペシャルドラマ「リーガル・ハイ」完全版 [DVD] の感想

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ドラマシリーズ1･2の間に放映されたスペシャルドラマ第一弾は、ライバル弁護士に北大路欣也を迎えての教育現場の闇に迫るストーリー。
イジメを題材に、心に隠れた傷を抱える若手教諭の榮倉奈々と生徒達との間に横たわる現代の闇を刮破する痛快なシナリオがなかなか良く出来ている。
三木が今回用意した刺客が重厚感に溢れる北大路欣也で、60歳にして司法試験合格の新人が古美門の胸を借りると言う馬鹿げた設定だが、老獪な打ち手で立ち塞がるしたたかさが面白い。ただ後半は失速して結末に上手く絡めなかったのが勿体無い。
一方の教育現場の真相の暴き方は巧みで感心する。お約束の水戸黄門オマージュや堺雅人と新垣結衣の潜入スパイ振りにも笑え、ドラマファンの期待を裏切らない。
最終的には榮倉奈々の背中を押すダークナイトを演じる事になる展開には胸がすく、リーガル･ハイらしさ満載の充実のスペシャル版だ。

昨年の連続ドラマでハマって以来、ずっとシーズン２かスペシャル、映画を待ってました。
『空気は読めるが、踏みにじって我が道を行く古美門(堺雅人)』と『空気が読めない朝ドラヒロイン黛(新垣結衣)』
の最強アク強すぎコンビが、法廷を常識を蹴り倒しながら、己の信念に従って突き進むコメディーです。

今回も『いじめ』という重いテーマを、前回よりもさらにパワーアップした笑いで盛り上げながら見事に納得させてくれました。
ネタばれになるので詳しく書けませんが、法廷でのあの人の叫びには胸が痛みました。
古美門もまさかの事態(いじめ？)に屈することなく、黛の前でだけは弱音を吐かなかったのはさすが(？)です。
(あきれられてましたが…)

前回の第９話で、あれほどのメッセージを叩きつけたのに、どこからも批判が起こらなかったのが不思議でした。
（私は感動しましたが）あの時期に民放であそこまで訴えるなんて、よほどの覚悟がないとできないと思います。
その時は、『メッセージをコメディーで包み込んで(隠して)いるから？』と考えていましたが、今回で解りました。

誰におもねることもなく、自分の信念に従って生きていくのは今の時代とても難しいことです。
確信犯の古美門と、いい意味で(？)鈍感な黛は明らかに浮きまくっているはずです。
しかし、彼らは全く臆することなくのびやかに、堂々と信念を主張して生きています。そこに古沢さん(脚本家)の
まなざしを感じました。　金子みすゞの『みんなちがって、みんないい(私と小鳥と鈴と)』の平成版のようです。
『コメディーで包み込んで(隠して)いたのは社会的なメッセージではなく、優しさだった』と思いました。
マイノリティ(少数派)な主人公達でも幸せに暮らしていけている…(ドタバタ＆シニカルですが…)
現代の集団生活に疲れている私達には一番心強いエールのように思えました。

今回も『いじめ』という問題の陰湿さ、構造、犯人など見事に浮き彫りにしてくれましたが、弾劾はしてません。
そこがリーガルらしいと思います。(まあ、あの犯人では無理ですが)