マルセル・シュオッブ全集 の感想

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参照データ

タイトルマルセル・シュオッブ全集
発売日販売日未定
製作者マルセル・シュオッブ
販売元国書刊行会
JANコード9784336059093
カテゴリ文学・評論 » 評論・文学研究 » 外国文学研究 » フランス文学

購入者の感想

私なんぞは江戸川乱歩からシュオッブの事を知ったクチで、著名な数篇しか読んだ事がなく全くの無知なものゆえ、日本でもシュオッブ全集が制作されたのはトテモ有難い。

彼の語り口は落ちる雫のように静かで、どの小説も散文詩のように短い。
その著名なる作品、金色の仮面の下に恐ろしき業(カルマ)を持つ王の話「黄金仮面の王」やパンデミックの幻影を描く「〇八一号列車」、
天地の崩壊か創造かを問う大好きな「大地炎上」、その他「二重の男」「吸血鬼」「少年十字軍」等を筆頭にレア作品・評論・エッセー、
そして重厚な解説・解題・年譜と盛り沢山。造本・装幀も素晴らしく封入物まで凝りに凝っている。なるべくなら現物で確かめてみてほしい。
今回初めて読んだものの中では最晩年の作とされる「マウア」に最もショックを受けた。官能描写が全然無かった訳ではないシュオッブだが、
レズビアンがここまで睦みあう、脳髄がトロトロになりそうなエロスを筆にしていたとは。

本書の刊行を喜びつつもひとつ頭によぎったのは、国書刊行会の本に限らず他社でも散見される事ではあるが、
どんなに優れた本でもハンパなく高額だったりその大きさが相当重かったりするケースが近年増えて、本好きの人でさえ購入を躊躇する場合がない訳でもない。
マニア以外の人が気軽には買ってみるには敷居が高く、世知辛い世の中になったと少し思う。
私も海外作家はなるべく手を出さないよう控えているので正直この価格には迷ったが、結局は購入して良かった。
それというのも幻想・怪奇・妖術そしてSF、時代でいうなら太古から中世そして近代と、あらゆる時空を駆けるシュオッブの魔力だろうか。
私のような門外漢でさえこれほど満足なのだから、好きな方々には神のごとき書物となりましょうぞ。

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