To Kill a Mockingbird の感想

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参照データ

タイトルTo Kill a Mockingbird
発売日販売日未定
製作者Harper Lee
販売元Grand Central Publishing
JANコード9780446310789
カテゴリ » 洋書 » Special Features » all foreign books

購入者の感想

この本に出会ったのは、かれこれ30年近く前になる。当時、駆け出しの編集者だった私は、大先輩の米国人エディターに「向学のために英語の本を読みたいが、お勧めの本は?」と聞いたところ、彼女が挙げたのは、ヘミングウェイでもなく、スタインベックでもない、この「To Kill a Mokingbird」だった。若かった私は、夢中になって読み、感動した。そして、先日アメリカ映画史上ベストヒーローで、ロッキーやスーパーマンを押さえて一位になったのが、アラバマ物語でグレゴリー・ペックが演じたアティカス・フィンチだったことを思い出して、実に30年ぶりに映画の原作であるこの本を再び手にしてみた。そして、再び、泣いてしまった。

涙をしぼる恋愛小説でも、わくわくするドベンチャーでもない、決してハリー・ポッターのような派手さはないのに、ページをめくるうちに、登場人物とともに笑い、泣いている自分があった。この魂を揺さぶるような感動はいったいどこからくるのだろう。うまく言葉ではいえないが、偏見に対する戦い、人間としての誇りと良心といった、極めて普遍的で深いテーマを、暖かく、そして深く描いているからではないかと思う。周囲に流されることなく、己の信念を守って生きることがいかに難しいかを、年を重ねるにして、多少なりとも分るようになり、また人種差別の現実をいやでも目のあたりにする昨今、余計、この作品の素晴らしさが心に染み入るのだ。

1960年に発表されて以来、世界中で読まれ、愛されてきたこのアメリカ文学史上、宝玉のような物語。「masterpiece=名作」とはこのような本のためにある言葉だ。もしも私が、今,

後輩から同じ質問を受けたら、迷わずにこの本をお勧めする。そう、ハリー・ポッターではなく、、、、、

 私がこの本を読んだのは、13年ほど前になる。当時通っていた、アメリカの大学の語学学校で教材として使われていたのがこの本だった。毎回、宿題として10ページ前後ずつ読み、授業でその内容を確認するものだったが、ストーリー自体が面白い上に、その先生の教え方がうまかったので、とても楽しい授業だった。

 テーマは黒人への不当な差別と貧困に対する怒り、そして不当な暴力に立ち向かう勇気だが、物語は決してハッピーエンドではない。それでも、決して裕福ではないが互いに信頼し愛し合う家族、子供時代にしか体験できない想像と冒険の世界に遊ぶ兄妹、二人を包む南部のゆったりと流れる時間が、少女の目を通して美しく描かれており、心にしみわたる。

 21世紀の現代でさえ、当時と社会の富の配分を受けられずに取り残された人々がどういう扱いを受けているか、ハリケーン・カトリーナでの被害を見ればよくわかる。現在のこの状況を見たら、アティカスは何と言うだろうか。0

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