『ブッダ 最期のことば』 2015年4月 (100分 de 名著) の感想

まず、重要なことは宗教を学ぶということではないということだと思っています。とくにブッダ最後の言葉（旅）ということでこれは文学作品だということなのでしょう。
色々と反駁する言葉はあるでしょうが、実際にブッダの言葉を直接聞くことができない我々は、思想的な分化が様々になされた後、もうどれが本当なのか実際にはわからなくなっている状態で、ブッダの考えを知ろうとする人間でしかありません。従って、そのように書き表されたものを読むときの一面を知れば良いのであって、その後は自分で考えるというだけのことです。
その点で、この番組もこのブックレットも大変意義深いものです。
ブッダの声を今でも直接聞くことができる人達が宗教を学んでいるのか、といえばそれは嘘でしょう。だったら偉そうなことは一言も聞きたくはありません。学派や宗派イデオロギーは所詮は他人のものです。
遥か悠久の時代に表出され、さらに原語からは遥かに遠い日本語という言語に表現されたものを吟味するしかないということは、それは広い意味での文学の楽しみとしかいえないと思います。そうなるとやはり各人の心に到達したものを疑うことはできないのであって、党派心から来る修正要求はやはり余計なお世話というのか、趣が違うと思います。
これはそれを教えてくれるものだと思います　☆５つ。