不思議な量子をあやつる―量子情報科学への招待 (別冊日経サイエンス) の感想

「私達は電子1個を制御でき、光子1個を操れるようになった」。

光を停止させるというとてつも無いことをやってのけた、L.V.ハウ教授が書いた説明が載っているので買った。しかし、それだけではない。量子トランスポーテーション、ボースアインシュタイン凝縮、そして量子コンピュータ。ちょっと未来のことになってしまうかもしれないが、量子情報科学の分野は将来、IT技術で重要な位置を占める可能性があるので、一部の物理学者のやっていることと思わず、IT関連の技術に関心のある方は時間のあるときにざっと読んでおいても良いかもしれない。

ダイヤモンドを利用したスピントロニクスの話は面白い。量子暗号も含め、量子力学が未来のIT技術を根本から激変させる可能性があることを示唆してくれて、結構感嘆しながら読んだ。

Newtonなどよりは明らかに難しいが、数式はほとんどなく、図は豊富。しっかり読めば理系の基本知識のある方であれば理解できるだろう。