巡ル結魂者3 (講談社ラノベ文庫) の感想
参照データ
タイトル | 巡ル結魂者3 (講談社ラノベ文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 秋田 禎信 |
販売元 | 講談社 |
JANコード | 9784063753936 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » コミック・ラノベ・BL » ライトノベル |
購入者の感想
異世界に召喚されたキャラクターには、異邦人であるからこそ、出来ることがある。本作の主人公カズトも、その立場に加え、頭の回転の早さ、人間力の高さをもって、ヒロインたちの抱える問題に、無闇に摩擦を起こすことのない最適解を下していく(例えるなら極黒のブリュンヒルデの村上くん。でもおっぱい星人ではない)。しかし、異邦人の立場のままでいるということは、人間関係に一線を引くということだ。その社会の中で生きて行くならば、どうやっても壁が立ちふさがる。そんな、異世界召喚ものでは古典的な、最近のラノベとしては「俺の青春ラブコメが間違っている。」などで記憶に新しい人間関係の問題に取り組んだこの巻は、シリーズの節目となっている。
最初はテンションが無闇に高かったヒロインたちは、適度に角を丸められ、今ではあまりうるさく感じない。目を引くのは、ツインテールドキャットリンカという能力を持つエコだろう。ベテラン作家が無理をして今風の美少女文化と寄り添おうとするとどうしてもどぎつくなってしまうものだ。しかしエコの場合、特殊能力を持つ猫と心身ともに一体化して力を得るという設定であり、その仕草一つ一つを、根っからの猫好きの作者が描写することで、大島弓子もかくや、と思わせるほど嫌味なく可愛く描かれている。
アクションシーンでは、オーフェンシリーズで言うところのミミズ腫れを起こす魔剣夏はちょっと疲れ目の魔剣夕飯がまずくなる魔剣などのような奇天烈な魔法がぽんぽん出てきて「あ、これ何も考えてないな……」と思いきやシリアスな場面で効果を発揮したりするのは侮れない。他に、「ろくろを回すポーズ」「縦縞猛打精霊」など、秋田作品としては珍しくパロディが多いのも新鮮だ。
本作が帯のアオリにあるような「ファンタジーの最前線」であるかどうかは分からない。だが、デビュー20年を経た秋田禎信という作家に、まだまだ業界の最前線に踏みとどまってほしいと願わずにはいられない。そんな作品を、「メックタイタン ガジェット」等含めて上梓しているのは、やや年を食ったラノベ読者としてはとても喜ばしいことだ。
最初はテンションが無闇に高かったヒロインたちは、適度に角を丸められ、今ではあまりうるさく感じない。目を引くのは、ツインテールドキャットリンカという能力を持つエコだろう。ベテラン作家が無理をして今風の美少女文化と寄り添おうとするとどうしてもどぎつくなってしまうものだ。しかしエコの場合、特殊能力を持つ猫と心身ともに一体化して力を得るという設定であり、その仕草一つ一つを、根っからの猫好きの作者が描写することで、大島弓子もかくや、と思わせるほど嫌味なく可愛く描かれている。
アクションシーンでは、オーフェンシリーズで言うところのミミズ腫れを起こす魔剣夏はちょっと疲れ目の魔剣夕飯がまずくなる魔剣などのような奇天烈な魔法がぽんぽん出てきて「あ、これ何も考えてないな……」と思いきやシリアスな場面で効果を発揮したりするのは侮れない。他に、「ろくろを回すポーズ」「縦縞猛打精霊」など、秋田作品としては珍しくパロディが多いのも新鮮だ。
本作が帯のアオリにあるような「ファンタジーの最前線」であるかどうかは分からない。だが、デビュー20年を経た秋田禎信という作家に、まだまだ業界の最前線に踏みとどまってほしいと願わずにはいられない。そんな作品を、「メックタイタン ガジェット」等含めて上梓しているのは、やや年を食ったラノベ読者としてはとても喜ばしいことだ。