石の綿―マンガで読むアスベスト問題 の感想

石綿被害の実態については、患者たちの生活歴などを丁寧に描き、驚くほどよく書かれている。
第一章は、クボタ神埼工場周辺から始まるいわゆるクボタショックを丁寧に描いたもの。実名を臆することなく使う姿勢は、取材と人間関係に対する強い自信を感じさせる。
第三章の「洗濯曝露」は、高度経済成長に翻弄された被害者たちの生き方のひだにふれる思いで、涙なしには読めない。第六章もいい。
参考資料も明示されていて、アスベスト公害を知る一歩としてうってつけの一冊である。0