ボタニカル・ライフ―植物生活 (新潮文庫) の感想

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タイトルボタニカル・ライフ―植物生活 (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者いとう せいこう
販売元新潮社
JANコード9784101250144
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » あ行の著者

購入者の感想

くすくすしながら、一気に読んでしまいました。私は若輩ベランダーですが、自分が女であるということをしみじみ実感してしまいました。とにかく男臭いのです。ぷんぷん。植物のチョイス、花の好み、意地っ張りなところ!女の人が読んだら男心の勉強になり、男の人が読んだらなにかと共感できる一冊ではないでしょうか。なかなかお勧めです。

多くの都市生活者にとって、庭を持つことは夢であり、ましては草花に覆われた庭園なんてのは夢のまた夢だろう。二極化が進行していると言われる現在、そんな叶わぬ思いにため息をつくくらいなら、いっそ価値観の大転換を図るべきかもしれない。

本書が提案するのは、そんな屈折した極私的な価値感を発見し、定義し、育んでいくことだ。それは同好の志を勇気付け、日当たりの良い優雅なガーデンなんかより、植物には厳しいくらいな環境のベランダが欲しい、と覚悟させるに違いない。

著者は悪条件を乗り越えるため、あるときは戦場の司令官、またあるときは弱小チームの野球監督となって、鉢たちと共に奮闘する。逆境を乗り越え、たくましい生命力を謳歌する植物を褒め称え、上手く采配を振るった自らの職人的手腕(あくまでベランダーとしての)に対して悦に入る。日夜植物の調子を見定め、必要とあれば緊急手術室の執刀医のごとく振る舞い(あくまでベランダーとして)、救い切れなかった植物と自らを悔やむ。

北向きベランダの鉢たちは、孤独な都会人にとって癒しの存在などでなく、もはや共に不器用に生きる同志たちなのだ。

なお、著者の視点と語り口は毎回楽しめるのだが、さすがに何年も同じテーマで書き続けられるとマンネリ化が否めない。ニューウェーブの園芸家としてはもう十分花開いたと思うのだが、この植物日誌はあたかも自然の摂理のごとく永遠に反復するのだ。0

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