曾根崎心中 の感想

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タイトル曾根崎心中
発売日販売日未定
製作者角田 光代
販売元リトル・モア
JANコード9784898153260
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学

購入者の感想

今から約300年前の元禄時代に大坂で起きた心中事件を近松門左衛門が人形浄瑠璃の舞台に上げ大喝采を浴びました。その脚本を直木賞作家・角田光代さんが翻案して小説に直したのが本作品です。

堂島新地の遊女・お初と醤油屋の手代・徳兵衛は初めて会って一瞬にして恋に落ちます。恋なんてしないと決めていたお初が徳兵衛と出会ってその恋に身を焦がしていく。哀しい境遇ゆえにこの恋に身を捧げたいと願うお初の純情さが胸を打ちます。遊女と客の間に恋愛が許されるはずもなく、徳兵衛が騙されて行き詰まると二人は究極の選択である心中へと突っ走るのです。

角田さんの「曽根崎心中」は、原作のむせかえるような熱気をうまく伝え、ふたりの愛の切なさと艶めかしさを全編にただよわせています。恋を成就するために死を選ぶしかない二人に寄り添い、冥土で結ばれるふたりを祝福するがごとく詠い上げます。浄瑠璃にも似たリズムのいい角田さんの文章が心地よくて、ずっと昔に文楽座で観た玉男と蓑助コンビの「曽根崎心中」の艶やかな舞台が甦ってきました。近松門左衛門の名作も読み返してみようと思いました。

角田光代さんの「対岸の彼女」「八日目の蝉」は私には合わなかったのですが、この「曽根崎心中」は絶賛させていただきます。これまでの彼女の仕事から「女の情念」を書かせたら角田さんがピカイチだと思いました。

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リトル・モアから発売された角田 光代の曾根崎心中(JAN:9784898153260)の感想と評価
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