絶望 (光文社古典新訳文庫) の感想

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参照データ

タイトル絶望 (光文社古典新訳文庫)
発売日2013-10-08
製作者ウラジーミル ナボコフ
販売元光文社
JANコード9784334752798
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » ロシア文学

購入者の感想

ある男が自分に似た男を見つけ、完全犯罪を目論むが・・・というお話。
この小説の主題や意義は巻末の長い解説で詳述されているので本書をよく理解する為にはそちらを必読して頂くとして、ここでは個人的な感想を述べたいと思います。読み終わっての率直な感想は如何にもナボコフが書きそうな小説だな、というものでした。特異な感じの登場人物、暗喩と多義性に満ちた文章、判り易いけど難解にも思える展開等、ナボコフのどの小説でもお目にかかれる如何にもナボコフ風の話に思えました。といっていつもと同じで安易と批判している訳ではなくて、常に企みに満ちた小説を書いていた著者の初期に書かれた、後の作風を考察するテキストとして今読んでも面白い小説に思えました。40〜50ページくらい切れ目なく続く文体は読みにくかったですが。
それと解説でも書かれている映像化しにくいタイプの話でデアンドリア「ホッグ連続殺人」やドローンフィールド「飛蝗の農場」等を先取りした、或は影響を与えた小説として歴史的価値のある小説に思えました。
個人的ナボコフは色々な出版社から散逸して翻訳されているものを集成して(出来れば若島教授監修の元)全集にして頂きたいです。フラン・オブライエンと並んで20世紀最大の作家だと思うので。
まだ面白い小説が隠れていれば翻訳してもらいたい著者のサスペンス風小説。機会があったらご一読を。

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