保育園義務教育化 の感想

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参照データ

タイトル保育園義務教育化
発売日販売日未定
製作者古市 憲寿
販売元小学館
JANコード9784093884303
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 教育学 » 一般

購入者の感想

保育園はこどもにとってかわいそうな場所なのだろうか?

長男も長女も0歳から保育園に通っている。そこで出会ったのは、真摯にこどもに向き合い、
こどもにとって適切な保育を行い、かつ親と同等の愛情を惜しみなく注いでくれる保育士さんたちだ。
最初の子を預ける際に、一瞬だけ「かわいそうかな」という感情を持った自分を恥じた。
それくらい、大事に大事に育ててくれた。子供も保育園が大好きだった。

日本において保育士の給与は安い。こどもが好きだ、という気持ちだけでは続けられない。
うろ覚えだけど、北欧のどこかでは0歳児の保育士が最も資格取得が難しく、かつ給与も高いと
聞いた。そりゃ、そうだ。一番手がかかり、目が離せず、人間として大幅に成長する0歳という
重要な期間の保育を担うのだから。

かたや日本は「保育=誰でもできる」くらいに思ってはいないか。親になったら誰でもできるもの。
そういう考えだから、保育士の待遇は低く、親になった瞬間の母親に無理難題を押しつける。

産んだから親ではない。未知の生物といきなり24時間一緒になるって、どれほど大変なことか
わかっているのだろうか。出口が見えない、正しいルートもわからない暗闇を走れといわれている
ようなものだ。そして父親は「育児は母親の仕事だから」と丸投げ。

あげく、いつまでも綺麗な妻でいろ、女であることを捨てるな、育児以外の家事もやれ。
さらには国をあげてこどもを産んでも働いてね、という。

世の男にも同じことを求めてみろよ。女だけがやらねばならないのか?

いや、それ無理だから。家事も育児も美容も仕事もして、さらにまじめに子供に向き合えば、疲弊する。
最悪、心を壊すし、子供に手をあげてしまうこともあるだろう。

そうなる前にプロに頼ってなにがいけないのだろうか。
働きたい母親はもちろん、働きたいという気持ちがなくても、古市氏がいうように、
週に一度でも預ける場があれば、それはどれほどの心の余裕を母親に与えるか。

古市憲寿っていう、川越シェフ似の社会学者がいるんですよ。大学の後輩なんですけどね。
著作が「リアル若者から見ると、オッサン達の唱える若者論って違ってますよ」みたいな切り口で、そういうのが世の中に受けて、よくテレビで若者代表として出ているわけですよ。

でも、一緒に飯食ったり、泊まりがけのカンファレンスで部屋同じになったりして、「お前、色々と評論みたいことしてるけど、本当はどういうことがしたいの?日本をどんな国にしたいんだよ」とみたいに突っ込んでも、
「いやー、特にないっすね」
みたいな感じで、部活のうざい先輩をあしらう新入生みたいな対応だったわけですよ。

おっさんからすると、昨今の若手はよう分からんな、と。まあこういう感じだったんですね。

だがしかし。僕は古市の新作を読んで、驚愕したのです。
「なんてまともなんだ」と。

「保育園義務教育化」というタイトル。一見、気をてらっているけれど、就学前教育の重要性というのはエビデンスもあり、かつ格差縮小や人的投資の側面からも、全く不自然ではない政策提案。

そこから踏み込んで、
就学前教育が最も投資対効果が高いこと。
母親が人間扱いされていない日本社会批判。
母性本能なんてない。
3歳児神話というデマ。
ピケティに会ったけど、日本の少子化心配してたぜ。
子育てしやすい環境をつくることは、経済にとってもプラスだ
子育てしづらい日本は、変えることができる

等々、一般の人々にとって、むちゃくちゃ分かりやすく、かつ大事なポイントは全部押さえて、少子化問題や待機児童問題、女性活躍について語っています。

少子高齢化って、「大変なことは分かっているけど、どうすれば良いのか」がよく分からない領域だ。それを、「普通の人々」に分かりやすく提示し、そして希望を語る。

あぁ、なるほど。古市は、こういうことができる人だったんだ。今まで誤解していたよ。これがお前の闘い方なんだ。そしてそれは、今の日本に必要な闘い方だ。

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