ゴルギアス (岩波文庫) の感想

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参照データ

タイトルゴルギアス (岩波文庫)
発売日販売日未定
製作者プラトン
販売元岩波書店
JANコード9784003360125
カテゴリ人文・思想 » 哲学・思想 » 西洋思想 » 西洋哲学入門

購入者の感想

 『ゴルギアス』はプラトン諸対話篇のうち前期に属する作品であり、それはすなわち、登場するソクラテスがかなり実際の姿に近いと考えられていることを意味します。『饗宴』『パイドン』などの中期作品に見受けられるイデアはまだ現れず、そういった意味では読みやすく、対話篇の中では入門書と位置づけられるでしょう。個人的には『弁明』『クリトン』を読んだ後に手にとるのがいいかと思います。
 内容のほうに触れましょう。この本は当時アテネで既に有名となっていたソクラテスが賢人と名高いゴルギアスの館に赴き、ゴルギアス、ポロス、カリクレスといった三人の智者とそれぞれ論争を行うという筋立てで、対話形式によって書かれています。
 その論争のどれもは勢いがあり、読む者の知的な刺激を引き起こさずにはいられません。たとえば「不正を行われることは不正を行うことよりも善い」と真剣に主張するソクラテスに、若く勇ましきポロスは唖然としますが、彼の透徹な思考に裏づけされた理にかなう弁論を聞いて、やがて彼の主張が正しいことを認めざるを得ません。その詳細はぜひ実際に読んで確認してください。一見の価値があります。
 しかしこの対話篇の真骨頂はポロスでも題名のゴルギアスでもなく、最後のカリクレスとの論争にあります。「力こそ正義」と敢然として謳い、若者がほど良く哲学を学ぶのはともかく、年老いた老人が哲学なぞを学ぼうとしているなら、その老人をぶん殴って目を覚まさせてやるべきだと言いのけるカリクレスは、虚学を愛する、あるいは学んでいる者の頭の上に相当に重くのしかかることでしょう。彼の主張は文学・哲学を好む者には決して避けて通れないものを示しています。最終的にソクラテス・カリクレスのいずれに与しても、熟慮した時間は決して無駄になりません。
 対話篇の中でおそらく最も面白い本なので、繰り返し読むことを前提に購入してみて下さい。

(2011年7月13日 誤りがあったところを修正)

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