福井モデル 未来は地方から始まる の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトル福井モデル 未来は地方から始まる
発売日販売日未定
製作者藤吉 雅春
販売元文藝春秋
JANコード9784163901855
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門

購入者の感想

十数年前、福井や富山はちょっと普通じゃないと気づいた。住宅面積が広く、賃金も低くない。それ以来何となく両県が気になっていた。本書はこの地域、富山市や鯖江市など北陸の街の少し普通でないところを明らかにしていく。

いくつかの事例が紹介されるが、鯖江の福野氏や竹部氏は特に印象に残った。鯖江自体も素晴らしい。教育については、過去の経緯もあって独特な教育が生み出されていることが分かったが、本気でやれば他の地域でもできないことではないだろう。

本書が企業誘致にかなり否定的なのには疑問を感じる。良い誘致と駄目な誘致はあるだろう。本書に登場する森市長も企業誘致を重視している。

3世代率や共働き率、学力テストのランキングの上位には、北陸以外の日本海側の県もいくつか入っている。それらの地域にも、北陸に通じる何かがあるのではないか。島根や秋田、山形にもきっとチャンスはある。

常々、福井県の学力テストの結果が良い点の謎を知りたいと思っていたのだが、本書を読んで納得出来た。著者(ルポライター)の纏め方(全体構成)が拙いために、基調が分りずらいのだが、要は、「未来はドンドン変って行く」という事を前提に施策を行なっている点がミソという事である。

これは企業でも学校でも同様で、例えば大企業の工場等を誘致しても、その時の経済状況で、その工場は他へ移転してしまうかも知れない。それなら、中小の地場産業の活性化に注力した方が良い。幸いな事に、福井には世界に通用する中小企業がある(このため、「福井モデル」がそのまま全国的に通用する訳ではない。副題の「未来は地方から始まる」は大ゲサであろう)。学校教育でも、「未来はドンドン変って行く」のだから、過去の知識の詰め込みでは役に立たず、変化に適応出来る"自ら考える教育"を実践している。こちらは、全国的に敷衍可能だろう。鯖江市の例だが、高齢者対策も同様で、道路網を徒に広げるのではなく、次第に車の運転が出来なくなって行く高齢者のために、市街地をコンパクト化するという施策も中々のアイデアである。

冒頭で、「「一向一揆」に負けたから、今の福井がある」との地元の人の言葉が紹介されている点も面白い。他より先に「ドン底」体験をした方が、他より先進的な方向性を打ち出せるという逆転の発想である。地方創成に興味を持っている方にとって、様々なヒントが詰まった良書だと思った。

大変興味深く読んでいる最中なのですが、23ページの「東京の人口の半分が高齢者になる」という記述が気になりました。
引用元となっている「国土の長期展望に向けた検討の方向性について」を読んでみましたが、それを裏付けるようなデータが見つからなかったからです。

最初は良書だと思いましたが、内容の信憑性、正確性に疑問を感じてしまいました。
脚注などでもっときちんと引用元を明記して頂きたいです。

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

福井モデル 未来は地方から始まる

アマゾンで購入する
文藝春秋から発売された藤吉 雅春の福井モデル 未来は地方から始まる(JAN:9784163901855)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.