あらすじとイラストでわかる密教 (文庫ぎんが堂) の感想

バラモン教の最高神ブラフマンの言語を書き記したのがリグ・ベーダでマントラという。　大乗仏教の毘盧遮那仏や大日如来は宇宙原理でブラフマンと同一神ではないか。　ブラフマンとアートマンが互いに入り込む梵我一如は即身成仏と同じ原理である。　宇宙と人間の交流である。　3密で修業を積んで三摩地という瞑想状態で神との合一を祈願する。　この修行で輪廻から解脱して涅槃に入る。　この輪廻転生もバラモン教の教義である。　釈迦は根本仏ではなく脇役で数多くの毘盧遮那仏の応化神の一つに過ぎない。　曼荼羅で中央に坐するのは大日如来である。　周りの菩薩や如来、明王はすべて大日如来の応化神である。　空海が密教となずけたのは真言宗が仏教ではなくバラモン教であることを隠すためではないか。　顕教では仏典から修行するが密教では体験を通して修行する。　この密教から念仏宗教が始まったという。　浄土真宗では南無阿弥陀仏（阿弥陀様に帰依します）を唱えさえすれば極悪人も救済される。　護摩法要もバラモン教の儀式である。　明王やヒンズーの天部の仏への供養である。　密教にはバラモンやヒンズーの神々が大量に移植されて釈迦が極めて肩身の狭い境遇にある。　果たして真言密教は仏教なのか。　バラモン教に回帰した新仏教ではないか。　密教を簡便に理解するには素晴らしい著作であった。