コマンド・カルチャー  -米独将校教育の比較文化史 の感想

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参照データ

タイトルコマンド・カルチャー  -米独将校教育の比較文化史
発売日販売日未定
製作者イエルク・ムート
販売元中央公論新社
JANコード9784120047268
カテゴリ歴史・地理 » 世界史 » ヨーロッパ史 » ヨーロッパ史一般

購入者の感想

時代は1800年代後半~1940年代。
アメリカの陸軍士官学校(ウエストポイント)、陸軍幼年学校、幕僚のための学校とドイツ(帝政ドイツ、ワイマール共和国、ナチス時代)の士官学校、幼年学校の比較研究です。
本書は論文ですが、和訳も含めて平易な文章のため読みやすく、「へえ」と驚くような将校養成の実相がうかがわれて興味深いものです。
ただ、比較対象表や図式が全くなく、全て文章で語られるので、理解しにくい部分もあります。

著者のスタンスは明確で、「アメリカは、ドイツの士官学校を真似て自国の士官養成をおこなおうとしたが、失敗している」
「模倣した時代は数十年古い形式で、戦争や戦術の変化に全く対応することなく金科玉条のごとく教条主義を固執」
「教育レベルは一般の教育組織以下」
「教え方は教条主義で、いじめ・恣意的人事が横行」
結果として、実戦では全く役に立たない将校が生まれた。
士官学校は陸軍のためにあるはずなのに、士官学校のために陸軍があるという勘違いが連綿と続いていた。
と酷評します。

大変面白いのは、民主主義であるはずのアメリカで、その士官学校はまったく非民主的であり、しごきやいじめが横行していたこと。
その仕組みを変えようとした人々がたくさんいたが、多くは失敗していること。が赤裸々に語られていることです。

これに対置して、ドイツの将校養成は、一般教養人としての一定以上のレベルを入学資格としたこと、幼年学校はそのための教育機関であり、ギムナジウム等の古典学校の教育レベルと大差ない「教養教育」を実施していたこと。
さらに、人格と出自を大変重視し、貴族階級の者が将校への道に進む文化があったことによって、幼少の家庭教育においても、人格形成が徹底していたこと。
将校養成の教育では、学校が用意した解答ではなく、「自主性」「主体的判断」を重んじたこと。
それによって徹底した実力主義であったこと。(同期という考え方はなく、入学時期が遅くとも実力があれば昇進は早いし発言権もあったこと)

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