20世紀英語文学辞典 (CD-ROM付) の感想

英語文学とは英語で書かれたありとあらゆる文学作品のことである。アメリカやイギリスにのみ英語で書かれた文学が存在するわけではない。オセアニア、カリブ海地方、アフリカにも英語文学はあるし、つい忘れがちになるがカナダやアイルランドでもすぐれた英語文学作品が生みだされている。かつて大英帝国に支配され、そこから独立をはたした国々において、旧宗主国の言語を用いて旧来の枠組みにとらわれない文学作品が創出されてきたのだ。この浩瀚な辞典はその英語文学の20世紀における偉大な成果を網羅した画期的な書である。詩、小説、演劇だけではなく、雑誌、文学運動、批評用語までを取り上げ、すべての項目に関してその重要性に即した過不足ない解説が付されている。英語で書かれた文学に少しでも関心がある人にとって必携である。3人の編集者の名前を見れば、この辞典がどれほど信頼できるものであるかは一目瞭然だろう。