『涅槃経』を読む ブッダ臨終の説法 (講談社学術文庫) の感想

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参照データ

タイトル『涅槃経』を読む ブッダ臨終の説法 (講談社学術文庫)
発売日販売日未定
製作者田上 太秀
販売元講談社
JANコード9784061596863
カテゴリ人文・思想 » 宗教 » 仏教 » 仏教入門

購入者の感想

涅槃経とは大般涅槃経 のことで、その一般人向けの解説書で3日で通読できる読み易い本です。引用は涅槃経に限らず、その他の仏典からの引用やサンスクリットなどの原語からの用語の解説などが充実しており、学術的に高い信頼がおけます。最初の66ページは因縁と業を中心に、仏教すべてに共通する基礎知識を解説しています。涅槃経には2種あります(1. 釈迦の死後まもなく編纂された涅槃経と2. 西暦300-350年ころに成立した大乗の涅槃経)が、本書では、両者の違いを紹介した上で、後者の涅槃経の解説に残りの200ページ弱が割かれています。前者は岩波文庫より中村元による名訳“ブッダ最後の旅”が安価に手に入りますが、後者の全訳は全4巻で1巻6000円以上いたしますので、この入門書は有用です。涅槃経のユニークな点は、人には皆、ブッダのような人物になれる可能性(仏性)が備わっているとしている(一切衆生悉有仏性)ことで、本書では、この仏性(我)を、バラモンのアートマンと対照して、類似点・相違点がわかりやすく解説されています。因縁(業)を断ち切るには、そのはじまりとなる煩悩を断つ必要があるとされます。涅槃経では、輪廻にとらわれて涅槃にたどり着けない人(一闡提)は、ちょうど蚕が自ら吐き出した糸で作った繭に閉じ込められて外に出られない状態に譬えています。煩悩が吐き出されている間は仏性は隠されてしまうということです(煩悩は身体の外からやってくるのではなく、内から生じる)。涅槃経や仏教の理解ということを超えて、自分の生き方・考え方を見つめ直すのに役立つ、うまい譬えです。あなたは、自ら作った繭にとらわれていませんか?

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