わたしの渡世日記〈上〉 (新潮文庫) の感想

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タイトルわたしの渡世日記〈上〉 (新潮文庫)
発売日2011-12-24
製作者高峰 秀子
販売元新潮社
JANコード9784101369815
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » た行の著者

購入者の感想

高峰秀子『わたしの渡世日記(上)』を読む。
いやぁ、べらぼうに面白い。
既に定評のある著書ではあったが、
なぜかこれまで手にする機会がなかった。
新潮文庫に入った今回、ようやく読むことができた。

満足に学校に行けなかったことは
高峰の終生のコンプレックスだったが
この筆力はどうだろう。
観察力、記憶力、表現力の三つが揃わなくては、
こうした文章は書けない。

日米親米大使としてアメリカに行った田中絹代が
帰国時にサングラスで投げキッスをしたことから四面楚歌となる。

  「鎌倉山のね、私の家のそばに崖があるでしょう?……
   あそこから、飛び降りようと、したの……
   何度も何度も、ね。
   そうすればみんなお終いになるから……」

高峰はそうした田中の言葉を正確に記憶し再現する。
人生最大の危機を乗り越えた田中に紫綬褒章がおくられたとき
高峰は誰にともなく「ざまあみやがれ……」と吐き出す。
なんと胸がすく台詞だろう。

若き日の黒澤明がロケ終了後に
ひとり布団部屋にこもって脚本を書き続けていたこと。
敗戦後、山本嘉次郎が酒とヒロポンにおぼれ
「過去の人」になっていったこと。
高峰の視点からの日本映画史でもある。

(文中敬称略)

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