平面論――1880年代西欧 (岩波人文書セレクション) の感想
参照データ
タイトル | 平面論――1880年代西欧 (岩波人文書セレクション) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 松浦 寿輝 |
販売元 | 岩波書店 |
JANコード | 9784000285599 |
カテゴリ | 文学・評論 » 文学賞受賞作家 » 芥川賞 » 101-125回 |
購入者の感想
本書は松浦寿輝の評論活動における代表作の一つであり、最近新たに復刊されて注目を浴び始めている。本書を読解する上でのメリットには極めて大きなものがある。まず一つ目は、表象文化論の見地から「近代」がいったいどの時点から開始されたのかを明確化した点。二つ目は、今後のWeb社会において、我々は間違いなく松浦のいう「像」の概念について様々なかたちで触れ合う機会が増すと予測できるが、本書はそうした「Web社会における視覚性の優越」をテーマにした議論において、常に一つの巨大な参照軸を用意してくれている点である。第一版が刊行された1994年から、既に二十年ほど経過している現在、『平面論』はいかに読まれるべきなのだろうか? 例えばWeb社会を牽引するGoogleの新しいサービスの提供、AppleのMacBookシリーズの高機能化と更なる「薄さ」への追求――こうした果てに見えてくるのは、スピルバーグが映画化した『マイノリティ・リポート』のように、いわば画面が空中に表示され、最早「機体」を必要としない世界なのだろうか? そのような近未来社会を想定した時に、改めて「平面」とは何かといった問題が重視されるはずである。