眠りと文学―プルースト、カフカ、谷崎は何を描いたか (中公新書) の感想
参照データ
タイトル | 眠りと文学―プルースト、カフカ、谷崎は何を描いたか (中公新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 根本 美作子 |
販売元 | 中央公論新社 |
JANコード | 9784121017536 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 評論・文学研究 » 文学理論 |
購入者の感想
この作品はプルーストやカフカ、谷崎といった文学史上の大物を主に「眠り」という観点から分析したものである。根本氏の博士論文を元にしているというだけあって、新書とは思えないほど読み応えがある。軽く新書でも読もうかと思っている人は気を付けたほうが良いかもしれない。しかし、「眠り」という視点から3人の作家の作品が新しく解釈されることによって目を開かされる点も多い。特にプルーストを扱った部分は『失われた時を求めて』の重層性など興味深かった。だが、カフカや谷崎を扱った箇所は本書のテーマである「眠り」から少々離れてしまっている部分も多くて残念だった。だが、全体としては面白かったし、新書でこのような本を読めることはすばらしいと思う。
あと、フランスでの根本氏の指導教官であるピエール・パシェのことが何度も本著のなかで取り上げられていて、パシェの議論も非常に興味深い。このような哲学者が日本でほとんど紹介されていないのは残念だし、ぜひ「弟子」である根本氏にパシェの著書の翻訳を期待したいと思う。
あと、フランスでの根本氏の指導教官であるピエール・パシェのことが何度も本著のなかで取り上げられていて、パシェの議論も非常に興味深い。このような哲学者が日本でほとんど紹介されていないのは残念だし、ぜひ「弟子」である根本氏にパシェの著書の翻訳を期待したいと思う。